きょうは、以前紹介した織部焼の下絵に、色を塗ってみたので、ご紹介します。
絵のモデルは、織部・七宝繁文四方入隅向付(おりべ・しちほうはんもんしほういりすみむこうづけ)です。安土桃山時代の作です。図鑑に載った写真を見ながら模写しました。


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植物を図案化した模様のようですが、具体的に何が描いてあるのかはわかりません。
織部の紋様には、花や動物などの写実的な絵柄と、この器のように抽象化された絵柄の、両方が見られます。
私は、特に抽象化された絵柄が好きです。

この絵を描きながら、緑の苔むす丘に、太古の植物が生い茂り、そこを子供が駆け上る様子を想像しました。
絵の下の緑がかった黒色の部分が丘で、茶色の線が太古の植物の太い幹や枝葉です。
抽象画は、見る人に想像の余地を与えてくれるところが魅力です。


こんばんは。
今日は、オリジナルのファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第9章・第4話を書き進めてみます。

カイザールがサキに物語る、カン・ソクの冒険譚の中編です。

挿絵は、カイザールの話に聞き入るサキの様子が描いてあります。

それでは、絵の下から物語の続きをお楽しみ下さい。


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その夜、カン・ソクは気がかりなことがあり、再びイヅミのもとを訪れました。
すると、浜辺の家の前には二人の兵士が立っており、家の中からはサズメ王の話し声が聞こえてきました。
「やはりお前は、ギンバースの王女ではないか。余は以前、王宮の式典でお前に会った事がある。名前も確かイヅミであった。ギンバースの王女なら、王宮に出入りしていた男と駆け落ちして行方不明になったと聞いていたが、まさかこのようなところで暮らしていようとはな。」
すると、イヅミの声で、こう答えるのが聞こえました。
「恐れながら、私は王のおっしゃられている方とは別人でございます。私は生まれも育ちもこのツムの村でございます。村の者にお尋ね頂ければ、それはすぐにお確かめ頂けることでございます。」
「では、もしこの村の者でないと分かれば、ギンバースへ連れてゆくが、異存はないな。」
「よろしゅうございます。どうぞ、村の者によくお確かめください。」
やがて、サズメ王が家から出てきて、宿営地の方に引き上げて行きました。
カン・ソクは入れ替わりに家の戸を叩き、イヅミに招き入れられました。
「一つ確かめたいことがあるのです。竜が渡せと言った三法者の書ですが、バザムは、それに関わるようなことを、一切話したことはありませんか。」
カン・ソクが尋ねると、イヅミは、
「バザムは漁の事に詳しいばかりで、学問には関心のない人だと思っていました。もし、彼がそういう書物の話をしたなら、私も意外に思って覚えていたでしょう。」
「あなたは三法者の書を、学問の書物だと思っているようですが、違うかもしれませんよ。」
「そうですね。竜から名前を聞いたとき、そういう書物ではないかと思ったのですが、違うかもしれません。」
「本当に違うと思いますか?」
イヅミは怪訝そうにカン・ソクを見つめました。
「じつは、私はあなたが、三法者の書について、知っていると思うのです。今は忘れているだけでね。それはバザムが、あなたの記憶から、三法者の書に関する部分を消してしまったからではないかと思います。」
イヅミはあっけにとられました。
「魔法使いでもない夫に、どうしてそんなことができましょう。」
「バザムが魔法使いであれば、それができるのです。しかも、記憶を操る魔法は大変難しいですから、彼は並の魔法使いではないということになります。」
「夫にそんな力があるとは、到底思えません。漁以外にとりえの無いような人でしたから。」
「先ほど、あなたはサズメ王と話していましたね。私はそれを、外で聞いてしまったのですが、あなたがもし、本当にギンバースの王女なら、バザムは魔法を使って、村の人々の記憶を操り、あなたがこの村で暮らせるように支度を整えたのです。そして、自分も漁師として村に溶け込んで、ギンバースの捜索を逃れたのだと思います。」
イヅミはとうとう笑い出しました。
「そんなに言うなら、何か信じられる証拠を見せて下さい。バザムが私や村の人たちの記憶を操り、私がギンバースの王女であることを忘れさせていると、証明できますか?」
カン・ソクはうなずきました。
「私には、あなたたちに掛けられた魔法の糸口が見えているのです。でも、それをあなたに見せることはできません。しかし、私にはバザムの掛けた魔法を解く力があります。魔法を解けば、あなたはすべてを思い出すでしょう。それが証拠です。そして、もしすべてを思い出すことができたなら、その見返りとして、私に三法者の書のありかを教え、それをゆずっていただきたいのです。」
イヅミはあきれて言いました。
「分かりました。私が王女であることを思い出し、三法者の書のありかを知っている事が分かれば、必ずあなたにお譲りするとお約束いたします。」
「忘れてはいけませんよ。」
カン・ソクはそう言うと、イヅミの近くに座り直し、装束を整えてから、その手を取りました・・・。


つづく



 織部焼(おりべやき)という焼き物をご存知ですか?
安土桃山時代の武将、古田織部(ふるたおりべ)が考案した焼き物で、現在でも、岐阜県に窯元がいくつもあって作陶が続けられています。

正式な名前は、美濃焼(みのやき)と言いますが、考案者の名前を冠した織部焼の方が、一般的にはよく知られていると思います。

私はこの焼き物の、色、形、そして何より、絵付けの絵柄が大好きで、時々絵に描いてみたりしているのですが、今回は、
織部焼の絵柄の魅力について、研究してみたいと思って、写真を見ながら模様を模写してみました。
それがこちらです。


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同じ模様が繰り返されて、大きな模様になっているパターンが多いのは、ほかの焼き物と同じです。
違うのは、描線や物の形が、きれいに整えられていない、という点です。
まるで、子供が描いたような、自由奔放な絵柄です。
ピカソが児童画の魅力を発見するより400年も昔に、同じ美意識を発見していた人が居たこと、そして、その美を楽しむ文化を、当時の人々がすでに持っていたという事が驚きです。

この絵は、近いうちに色塗りをする予定なので、完成したらまたこちらで公開しますね。

織部焼の味わいを、できるだけ再現するように頑張ってみます。


Kobito


 こんばんは。
きょうは、オリジナルのファンタジー小説、『忘れかけていた物語』の、第10話を書き進めてみたので、ご紹介します。
このお話を更新するのは、じつに半年ぶりです。
書き進めるのが難しいお話ですが、あきらめることなく、カタツムリの歩みで、完成を目指したいと思っています。

挿絵は、新しく描きはじめたものの一部分です。
小人のぬいぐるみピコと、熊のぬいぐるみのリリィが描いてあります。

登場人物の紹介を、以下に載せておくので、物語を読むときの参考にして下さい。


・少女=さえ 主人公の高校生。幼いころに書いた自分の物語の中に迷い込んでしまった。
・熊=リリィ さえが幼いころに親友だったぬいぐるみ。
・クスノキ=トンおじさん とこやみの森の住民。
・操り人形=ジョージ クスノキのトンおじさんの甥(おい)。
・カエル(大)=ブーン さえが書いた物語の国の王の母。悪い魔法使いのズルにカエルの姿に変えられた。
・カエル(小)=チョコ さえが書いた物語の国の王。母と同様カエルの姿に変えられた。カエルのように鳴くだけで言葉が話せない。
・赤い小人=ピコ  木こりのぬいぐるみ。ズルから取り上げられた斧を取り返そうとしている。
・緑の小人=グル サンタクロースになりたい木こりのぬいぐるみ。ピコの赤い衣装を欲しがっている。
・蝶=フール ステンドグラスのように光るおしゃべりな蝶。
・ロバ=ローマン のんびり屋のロバのぬいぐるみ。自分をポニーだと思っている。
・猿=チャッキー いたずら者の猿のぬいぐるみ。名前のない宝石を盗んでビワの木に登ってしまった。
・テントウムシ=ピック トンおじさんの幹にとまっているが、全くしゃべらないので、トンおじさんは気が付いていない。



では、絵の下から、物語の続きをお楽しみ下さい。

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「ねえ、どうして迷子になったあなたが、トンおじさんで木登りなんかしてるの。」
フールがピコの頭の上を飛び回りながら聞いたので、ピコは、
「おせっかいなフクロウが、わしを穴底人の落とし穴に放り込んだからさ。そのフクロウは『けんかを止めないと、蹴飛ばすわよ!』と言ったから、わしは蹴飛ばされないように用心しながら、グルとけんかしていたんだ。するとそいつは、わしの襟(えり)をくわえて、山なりに茂みの向こうへ放り投げた。そこがちょうど、穴底人の落とし穴だったんだ。わしは、その穴の底で、なんと、穴底人がつつましく暮らしているのを発見した。森の誰もが足元に注意して、落とし穴に落っこちないものだから、今まで誰ひとり、彼らの文明を発見することができなかったのだ。わしはそこで、穴底人から心づくしの歓迎を受けて、すっかり穴の底の暮らしが好きになった。ところが、そんな楽しいひとときも、終わりをむかえる時が来た。トンおじさんが、頭から落とし穴に落っこちてきて、穴の途中で詰まってしまったからだ。そこでわしは、トンおじさんの頭につかまり、穴底人に「ごきげんよう!」とあいさつした。穴底人たちも口々に別れを惜しみつつ、みんなして箒(ほうき)の穂(ほ)でトンおじさんの頭を突き上げて、わしを穴の底から抜け出させてくれた、というわけだ。」と言いました。
「とても素敵なお話だわ。だけど、間違っているところが一つあるのよ。あなたを落とし穴に放り込んだのは、おせっかいなフクロウじゃなくて、おせっかいな私だったのよ。」
さえが申し訳なさそうに言いました。
「おせっかいなフクロウか、おせっかいなさえか、迷っていたんだが、これですっきりしたな!」
ピコが気にしないようだったので、さえは安心して何度もうなずきました。
「さあ、何もかもうまく行きました。それではみなさん、ズルの城を目指して出発しましょう。」
ブーンが手を叩いてみんなをうながしました。でも、リリィが手を挙げて、「待って、まだチャッキーとの約束を果たしていないわ。ピコ。あなたの帽子を、チャッキーが欲しがっているの。チャッキーはそれと引き換えに、盗んだ名前のない宝石を返してくれたのよ。」と言ったので、グルは跳ね上がるほど喜んで、「聞いたかピコ。サンタの帽子は、もうお前の物じゃないんだぞ!」とはやし立てました。
ピコは赤い三角帽子を脱いで、名残惜しそうにながめていましたが、肩をすくめると、リリィに渡して言いました。
「木こりにとって、一番大事なものは帽子じゃないからな。ほら、さっさと戴冠式を済ませて、ズルのところへ斧を取り返しに行こうぜ。」
そこでリリィは、ポケットから小さな銀のベルを取り出すと、頭の上で「チリンチリンチリン!」と振り鳴らしました。
すると、一匹の子ザルのぬいぐるみが、ビワの木をするすると下りてきて、リリィの前にちょこんと座りました。両目は紫色のつぶらな宝石でできていて、いつも白い歯を見せて笑っている、とてもひょうきんな顔の子ザルでした。
「さあ、これからチャッキーの戴冠式を始めます。」
リリィが、整列したみんなを見回して、おごそかに言いました。


つづく


 こんにちは。
きょうは、製作中のオリジナル童話、『アンチャンの小人たち』の、第3話を書き進めてみます。
今回は、登場人物の紹介が主な内容です。
挿絵は2枚目を描きはじめました。落葉に乗って川を下る、アンチャン村の小人たちのようすです。色塗りをして完成させる予定です。
物語は、小人たちがこれから川下りを始めようとするところです。
では、さっそく絵の下から、お話の続きをお楽しみ下さい。


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さて、浅瀬に葉っぱの舟を浮かべた小人たちは、沈んだり、底が抜けたりしないか確かめるために、岸辺の小石の上から一人ずつ飛び乗りました。
太っちょの子供は、松の種に松葉をさしたかいを持って、舟の真ん中に陣どりました。この子はみんなの中ではちょっとした大将で、名前はムスビといいました。
さっきお祈りを唱えた、やせっぽちの子供は、船尾に座って、「やれやれ。」といいました。彼は看板屋のタクの息子で、ケラという名前です。ケラに寄り添って、さっきからにこにこ笑っているのは、ユニオという子で、彼はケラの四つ違いのお兄さんです。色白で、めったにしゃべらない、とてもおとなしい子です。
そして、船首に並んで立っているのは、黒髪を伸ばした背の高い男の子の方がウタオで、亜麻色の髪の小柄な女の子の方がツキヨといいます。ウタオは、お父さんに作ってもらった自分のポロン(三味線のような楽器)が自慢で、お祭りのときには、それをみんなの前で弾いて聴かせます。ツキヨは、子供の中では一番の歌い手で、やっぱりお祭りのときは、ウタオの伴奏に合わせて、みんなの前で歌います。小人たちはみんな音楽が大好きなので、二人の歌や演奏が始まると、めいめいに葉っぱで作ったうちわを持って踊り出します。
今日は、ウタオがポロンを持っていないので、ツキヨも歌わないかも知れませんが、川下りは用心が必要ですから、仕方がありませんね。


つづく



 2015年の4月です。
今年も桜の季節が巡ってきましたね。
ということで、今日は、桜の写真を撮りに出かけてみようと思います。


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通りすがりのノラ猫「にゃに?桜の写真を撮りに行く?吾輩が良い場所を知っているにゃ。ついて来るにゃ。」




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ノラ猫「この神社の桜がお勧めにゃ。あいにくの花曇りだけど、桜は力いっぱい咲いてるにゃ。一年の間、待ちに待った開花だからにゃ。」




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ノラ猫「生垣の向こうに、桜と、新緑の大木が見えるにゃ。古い神社やお寺には、見るからに長生きな立派な大木が付き物にゃ。」





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ノラ猫「桜は、遠くから見ても、真下から見ても、とても綺麗にゃ。遠くから見ると、ピンク一色に見えるけれど、近くで見ると、紅色の芯がある薄いピンク色の花だと分かるにゃ。毎年見ても、桜の美しさに感心する気持ちは変わらないにゃ。また来年も、通りすがったら、近所の名所に案内するにゃ。じゃあにゃ。」




 こんにちは。
きょうは、『魔法使いサキの物語』の、第9章第3話を書き進めてみます。
内容は前回同様、カイザールがサキに物語る、カン・ソクの冒険譚の一つです。
今回の冒険譚は長い内容になったので、前篇、後篇に分けて掲載します。
挿絵は、今回のために描いたアクリル画の一部分です。
カン・ソクが弓を持って立っている姿です。
じつは、カン・ソクの姿を絵に描いたのは、これが初めてです。なぜ今まで彼の姿を描いてこなかったのかは、いつか物語の中で語る機会が来るのではないかと思います。
それでは、絵の下から、お話の続きをお楽しみ下さい。

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ーカイザールが物語るー
ブリーズ海の暴れ竜を退治した魔法使い 前篇

チロクは霧に包まれた国です。
北からの冷たい風が、ブリーズ海の温かい水を、終始霧に変えているからです。
魔法使いのカン・ソクが、チロクのツムという村を訪れたのは、隣国のナンノーアで、ブリーズ海に住み着いた暴れ竜のうわさを耳にしたからです。
この竜は、ブリーズ海沿岸の村々を襲っては、家や田畑を焼き払い、多くの漁船を海に沈めて、すでにたくさんの人々を、住み慣れた土地から追い立てているという事でした。
カン・ソクはツムの村長、テンジムの許を訪れて、暴れ竜のうわさが本当かどうかを尋ねました。
テンジムは、彼が有名な魔法使いだと分かると、すっかり恐縮して答えました。
「このあたりに竜が出るのはまことの事でございます。霧が濃い土地柄のため、はっきりと姿を見た者はおりませんが、鯨のように大きな体で、悠々と空を舞い、村々にやって来ては、舟を壊し、家や農地を焼き払って、人々を苦しめ、故郷から追い立てようとしております。」
カン・ソクは、ツムの村落や田畑に荒らされた様子がないのを見ていたので、
「この村は襲われたことがないのですか?」
と尋ねました。テンジムはうなずくと、
「漁に出ていた舟を何隻か壊されましたが、村落が襲われたことはまだありません。しかし、先日竜が、村の漁師を通じて、『近いうちにこの村を襲う。』と我々に言づてをよこしたのです。ですから、途方に暮れた私どもは、王宮のサズメ王に救援を求めに参りました。サズメ王はこの村に軍隊を派遣すると約束して下さいました。じつは今日が、その軍隊が到着する日なのです。」
と答えました。
カン・ソクは納得すると、
「竜の言づてを預かったという漁師から、話を聞く事はできますか?」
と聞きました。テンジムは喜んで、「ぜひお願い致します。軍隊とカン・ソク様がこの村をお守り下されば、まさに鬼に金棒でございます。」と言うと、彼を海岸にほど近い一軒の家に案内しました。
テンジムは家の前でカン・ソクに、
「この家の主は、漁に出たまま行方知れずになったのです。後に、竜の仕業だと分かりましたが、いまはその妻が、一人で漁をして暮らしております。」と教えました。
すると、浜の方から魚の入っためかごを担いだ女が帰ってきました。
まだ若く、漁師にしては華奢な女で、名前はイヅミといいました。
イヅミは二人を家に上げると、竜から伝言を預かった時のようすを話しました。
「沖の方で、網打ちをしていると、霧の向こうに、大きな鳥のようなものが舞い下りてきて、私にこう話しかけました。『お前の村を、これまで襲わなかったのは、お前の夫のバザムが俺に結ばせた契約のためだ。その契約では、バザムの魂と、三法者の書を俺に譲り渡せば、村を襲わない、という決まりになっていた。しかし、三法者の書を、俺はいまだに受け取っていない。このまま三法者の書を渡さないつもりなら、お前の村も近いうちに草一本生えない焼け野原にしてしまうからそう思え。』と。私は、『三法者の書など知らない。バザムを返してくれ。』と言いましたが、竜は嵐のような突風を起こすと、返事もせずに飛び去ってしまいました。」
カン・ソクは、語り終えたイヅミをいたわって、礼を言いました。
するとイヅミは、「どうか、私を竜退治に加わらせて下さい。私の手で、バザムの仇(かたき)を討ちたいのです。」と言って頭を下げました。
カン・ソクは、「あなたにできることがあれば、お願いすることになるでしょう。」と言って、テンジムと共に彼女の家を後にしました。
午後になって、王宮が派遣した軍隊がツムに到着しました。
村人たちと共に広場で出迎えたテンジムは、兵士の隊列の先頭に、サズメ王の姿を見つけると驚いて、
「王直々にお出ましを頂けるとは、誠に恐れ多いことにございます。」
と頭を下げました。
「竜という生物が本当に居るのか、この目で確かめてみたくなったのでな。」
サズメ王はそう言うと、司令官に宿営地の設営を命じました。
テンジムは、帯同していたカン・ソクを、「森羅万象を操る高名な魔法使いでございます。」と言ってサズメ王に引き合わせました。
サズメ王も、この魔法使いのうわさは聞き及んでいたので、
「竜に加えて、伝説の魔法使いにも出会えるとはありがたい。」
と言って、下馬すると握手を交わしました。
カン・ソクは、
「恐れながら、この度の竜退治は大変に危険なものになります。なぜなら、竜というものは魔法を自在に操ることができるからです。これは、兵力の大きさでは抗し切れない力です。兵士や村民への被害を最小限に抑えるためにも、ぜひ私を作戦の指揮に加えて頂きたい。」と申し出ました。
サズメ王は、
「気遣いは嬉しいが、この度の指揮は余が執り仕切る。虎や獅子の狩りでも、危険はつきものだが、その危険があるからこそ、狩りの醍醐味も存分に味わえるというものだからな。」
と言いました。
「では、私は万一のために、村民を守りつつ備えております。」
カン・ソクが申し出ると、サズメ王は、
「そうしてもらいたい。」
と言って、テンジムの案内で司令官たちと村の視察に出かけました。


つづく

2015年04月|Kobitoのお絵描きブログ .651.649.648.647.646.644.642