こんにちは。
きょうは、オリジナルのファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第9章・第2話を書き進めてみます。
挿絵は今回で完成です。描かれているのは、サキと共にしばらく旅をする事になった、フラトの元国境警備団員カイザールです。

サキが魔法使いの知識に乏しいと知ったカイザールは、道中サキに、魔法使いにまつわる様々な話をしてくれました。
今回は、カイザールが話した、サキの師匠カン・ソクの冒険譚について書いてみます。

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ーカイザールが物語るー
ウルビソス山の噴火を鎮めた魔法使い

サシリーアのウルビソス山は、噴火してから三年三ヶ月の間、繰り返し溶岩と火山灰を噴き出し続け、南のサランダムの民を苦しめていた。
サランダムの王ユビリオシスは、このままでは国が火山灰に埋もれてしまうと心配し、方々を頼って解決策を求めたが、その中の一人に、リヘムという名の祈祷師がいた。
リヘムは以前、王宮のお抱えであったが、怪しげな術で人々をまどわし、悪事を働かせたかどで、今まで都から追放されていたのである。
リヘムはユビリオシスにこう進言した。「この災厄は、サランダムの民が繁栄に浮かれ、神への敬いをおろそかにした罰なのです。噴火を鎮めるには、王のもっとも大切なものを、神に捧げなければなりません。」
ユビリオシスは、
「民が本当に救われるのであれば、私は喜んで最も大切なものを捧げよう。」
と言った。するとリヘムは、
「王女のソリアンテミを、人身御供にするのです。王女が火口に身を投げれば、噴火はたちどころに鎮まります。」
と答えたので、ユビリオシスは大変に驚き、「それだけはできぬ。」と言って、リヘムを王宮から追い出した。
しかし、ほかに解決策がないことが分かると、ユビリオシスはリヘムが示した条件を誰にも打ち明けられないまま、夜に昼に悩みを募らせていった。
ソリアンテミは、王が弱り果てている事情をリヘムから聞き出すと、たいそう嘆き悲しんだが、民が救えるのならと、心を決めて、その晩そっと王宮を抜け出し、一人でウルビソス山へと向かった。
道も半ばという所で、ソリアンテミはにわかに大雨に遭い、ひとまずジャマカールの岩屋で雨宿りをすることにした。
すると、岩屋の奥にも一人、雨宿りをしている男がいた。その男は、ソリアンテミが入ってきたことにも気付かずに、自分がかぶった帽子と熱心に話し込んでいた。
ソリアンテミが身を隠してうかがっていると、帽子は、「火山の噴火を鎮めることなど誰にもできない。」と言い張り、男は、「自分なら手もなく噴火を鎮めることができる。」と言い張っているらしかった。
ソリアンテミは、わらをもつかむ気持ちでこの男の前に出ると、事情を話して、もし噴火を本当に鎮められるのなら、これから一緒に王宮に来て、王にそのことを話してほしいと頼んだ。
男ははじめはとまどっていたが、涙を流して懇願するソリアンテミを見て、哀れに思ったのか、最後にはこころよく依頼を引き受けてくれた。
男は自分を、魔法使いのカン・ソクだと名乗った。
王宮に戻ったソリアンテミは、さっそくカン・ソクをユビリオシスに引き合わせた。ユビリオシスはその男を高名な魔法使いとしか知らされていなかったが、会ってみるとそれが森羅万象を操るとされる、当代随一の魔法使いカン・ソクだと分かってたいそう喜んだ。
カン・ソクは王に、「ウルビソス山に登るためのたくましい助手を一人と、純金でできた大瓶(おおがめ)とひしゃく、それから純金の剣を用意して頂きたい。」と申し出た。
ユビリオシスは「王国を挙げて早急に最高のものを用意する。」と約束した。
するとその時、王子のカナデオンが進み出て、「助手は私が務めよう。」と言ったので、王も家臣たちも思い止まるように言い聞かせたが、カナデオンは「異国の者が我が国のために危険を冒そうとしている時に、王子である私が座して見ている事ほど情けないことがあるだろうか。」と言って、とうとう助手を務めることを皆に認めさせた。
王命により、都中の鍛冶職人と金細工師が集められ、数日のうちに、まばゆいばかりの純金でできた大瓶とひしゃくと剣ができ上がった。カン・ソクは大瓶一杯に、用意しておいた蒸留水を満たすと、しっかり純金のふたをして、カナデオンに担ぐように命じた。
カナデオンは屈強な体で大瓶を担ぎ、純金の剣を持ったカン・ソクを案内して、さっそくウルビソス山へ向かった。
ウルビソス山の周囲は噴煙で昼間でも夜のように暗く、森はすっかり焼け野原となり、あちこちで火の手がくすぶる地獄のような風景だった。
カナデオンは、カン・ソクに命じられて、大瓶のふたを開けると、蒸留水を純金のひしゃくですくっては行く手に撒いて歩いたが、そうすると不思議なことに、熱風は和らぎ、視界は晴れて、呼吸も楽になるのだった。
険しい斜面を這い登り、いよいよウルビソス山の頂上に着くと、カン・ソクはカナデオンに蒸留水を撒かせながら、そこに座して、呪文を唱えながら純金の剣を火口に投げ入れた。
純金の剣は真っ赤に焼けた溶岩に突き刺さり、ゆっくりと沈み、やがてすっかり見えなくなったが、カン・ソクが手招きをすると、溶岩から再び浮かび上がって、空を飛んで彼の許に戻ってきた。剣は刃も握りもいささかも傷んでいなかった。
すると、にわかに山が揺れ出して、北の方で雷鳴のようなものすごい爆発音が響いた。
カナデオンは噴火が始まったと思って気が気でなかったが、カン・ソクはまたカナデオンに命じて、蒸留水を撒かせながら山を下り、王宮へ戻ると、ユビリオシスに、「ウルビソス山の噴火は間もなく鎮まります。」と伝えた。
そして、本当にウルビソス山の噴火は、それから次第に勢いを失って収まったのである。
役人が後で調べたところ、ウルビソス山の北側の中腹には、新たに大きな穴が開いていて、そこから流れ出た溶岩が、まっすぐふもとのビカーエウ湖に注ぎ込み、湖のほとんどを埋め立ててしまったのだと分かった。
人々は、「神を装ってウルビソス山をあばれさせた悪魔を、カン・ソク様が純金の剣で退治したために、噴火が収まったのだ。道具や武器に純金を用いたのは、それが神からの最上の贈り物であり、悪魔が恐れをなすことが分かっていたからだ。そして、山腹の大穴は、悪魔が逃げ出した跡なのだ。」とうわさし合った。
カン・ソクはユビリオシスやサランダムの民から感謝され、王からソリアンテミを妻にと勧められたが、丁重に断って旅の途に就いた。
ソリアンテミは彼の無事を祈って窓辺にカーナの鉢植えを飾り、それが今でも、旅人を見送る際に、サランダムの人々がカーナの花飾りを贈るという習わしとして残っている。

つづく


 きょうは、久しぶりに『魔法使いサキの物語』の第9章・第1話を書き進めてみます。
第9章では、主人公サキの視点で物語が進行します。
挿絵はまだ下絵ですが、フラトの元国境警備団長アムサラが最も信頼していた男で、カイザールという人物の絵です。
(二枚目の挿絵は、この物語の世界地図です。お話に登場した地名が、次第に書き込まれて行くので、地図と物語を照らし合わせながら楽しんで頂けると嬉しいです。)

サキはフラトの王アモスが発した、「すべての魔法使いを国外追放にする」という命令のおかげで、国境を越えることができ、いよいよ隣国のワナイに入りました。さて、これからどんな旅が彼女を待ち受けているのでしょうか。
それはまだ、私にも定かではないのです。

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ワナイはいちめん砂礫(されき)の荒野です。
サキとカイザールは、それぞれ馬にまたがり、うだるような暑さを休み休みしのぎつつ、西へ向けて進んでいました。
西方の大国ナーグリアからは、湾を隔てたシンギ半島へ、定期的に交易船が出ています。カイザールはそれに乗って、シンギ半島の南岸に位置する比較的国情が安定したアスタカリアに向かおうとしていました。そこでは、魔法使いに対する迫害も他国ほどはひどくないという事でした。
サキはカイザールから、
「ゴンドラ大陸をまっすぐ西へ行けば、大陸を分断するウル山脈に突き当たる。恐ろしく険しい山で、越えることができる峠は山脈の南端のクドゥイにしかない。しかし、クドゥイでは魔法使いの入国が固く禁じられている。身の上を偽って無理にクドゥイを通り抜けるより、アスタカリアから海路で大陸の西側に渡ったほうが、日にちはかかるが安全だ。」という助言を受けたので、ひとまず彼と行動を共にして、アスタカリアへ向かう事にしたのでした。
カイザールは、この大陸では珍しい、赤茶色の肌をした、褐色人と呼ばれる人種でした。
禿頭に、頬からあごにかけてひげをたくわえたいかつい風貌で、一見気難しそうでしたが、サキは話をするうちに、彼が穏やかで理知的な人物だという事を知りました。
カイザールは、サキが魔法使いの知識に乏しいと分かると、休憩のたびごとに基礎的な事から教えてくれました。
「三法者(さんぽうじゃ)というのを知っているか?」
「いいえ。」
「名高い魔法使いの中でも、全ての魔法の技を極めたとされる三人の事だ。その中の一人が、お前が幼少の頃に師事したと言うヌマ様だ。そして、お前が現在師事しているというカン・ソク様は、三法者に勝る力を持つとされる生ける伝説のようなお方だ。正式な魔法教育を受けた者なら、たいてい彼らの名前はどこかで耳にしたことがある。我々が用いている魔法の大半は、三法者が発明したものだし、カン・ソク様の数々の冒険譚は、魔法を学ぶ者なら師から繰り返し聞かされてたいてい覚えている。」
サキはテトの都で出会ったダンケルとマイネも、カン・ソクについて同じように話していたなと思い出しました。
「でも、火山の噴火を鎮めたり、竜を退治したりなんて、おとぎ話のようなことが、本当にあったのかしら。」
カイザールはにやりと笑うと、
「実際、子供向けのおとぎ話だからな。どこまで本当かは分からない。ただ、魔法使いの間では、広く知られた話なんだ。」
と答えました。
サキは、おとぎ話だと分かって、ちょっとほっとしてうなずきました。


つづく

 漫画の一つの形式として、4枚の絵を使った「4コマ漫画」がありますが、江戸時代後期には、葛飾北斎が『北斎漫画』の中で、似た試みを行っており、同じころに西洋から伝わったコマ漫画とともに、この辺が日本の4コマ漫画の源流だとされています。

4コマ漫画が一般的になる前は、1枚絵の漫画が主流で、他にも2コマ、3コマ、6コマなど、いろいろなスタイルのコマ漫画がありましたが、1920年代から1930年代にかけて、新聞各紙に連載された4コマ漫画が人気を博したことで、4コマの漫画が短いコマ漫画の主流になって行ったようです。


以上はウィキペディアでさっき読んで仕入れた知識です。^^


ということで、今日はオリジナルの3コマ漫画をご紹介します。
4コマではなく3コマにしたのは、はがきサイズの用紙に描いたので、各コマの絵のスペースを確保するために、1コマ減らしたというのが理由です。
内容から言っても、3コマがテンポ的にちょうど良かったと思います。

テーマは、『子犬の喜び』です。
犬が生まれながらに持っている、純粋無垢な心が、表せていると嬉しいです。



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