今日はクリスマスイブなので、季節限定イラスト&童話製作にチャレンジしてみました。
イラストはシャープペンシルでシンプルな下絵を描き、アクリル絵の具であまり色数を使わずに彩色しました。


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 この絵に描かれているのは、南極の、昭和基地の近くに住んでいる、コウテイペンギンのひなの”アッチ”です。
アッチは、ほかのヒナたちに比べると、ずいぶん体が小さいので、お父さんとお母さんは、ことのほか大切に、アッチを育てました。
ある日、アッチは、雪の野原で、おかしな袋を見つけました。その袋の中には、リボンを結んだいくつかの小箱と、何通かの手紙が入っていて、手紙には、それぞれのあて名と、『メリークリスマス。良い子へのご褒美だよ。サンタクロースより』というメッセージが書いてありました。
「これは、サンタクロースさんが、空からうっかり落っことした、クリスマスのプレゼントじゃないかしら。」
アッチはそう思って、袋をかついで、ふらふらと、雪の野原を歩き出しました。
サンタクロースの家まで、落し物を届けようと思ったのです。
アッチはまず、ペンギンの村長さんの家をおとずれました。
ペンギンの村長さんは、すごく年をとっていたので、物知りだったのです。
「サンタクロースさんのお家はどこなの?」
アッチが聞くと、ペンギンの村長さんは、
「わしは知らないが、オットセイさんが知ってたな。」
と言って、灰色の羽で雪の野原の向こうを指さしました。
アッチが袋を担いで、雪の上をせっせと歩いて行くと、オットセイさんは、岩の上に座って、手を打ちながらクリスマスキャロルを歌っていました。
「サンタクロースさんのお家はどこなの?」
アッチが聞くと、オットセイさんは、
「僕は知らないけど、アザラシさんが知ってたよ。」
と言って、前ひれで海岸の方を指さしました。
アッチは袋をかついで、またよろよろと海岸の方に歩いて行きました。
アザラシさんは、子供のアザラシといっしょに海に浮かんで、海藻でリースを作っていました。
「サンタクロースさんのお家はどこなの?」
アッチが聞くと、アザラシさんは、
「私は知らないけど、カモメさんが知ってたわ。」
と言って、岬の方を鼻で示しました。子供のアザラシもまねをして、岬の方に鼻を向けました。
アッチはまた袋をかついで、えっちらおっちら、岬の方に歩いて行きました。
カモメは岬のとっぱなに立って、うつらうつら、いねむりをしていました。
「サンタクロースさんのお家はどこなの?」
アッチが聞くと、カモメは、
「グリーンランドだよ。海の向こうの、そのまた向こうだよ。」
と答えて、ねむけざましの伸びをしました。
アッチはまだ泳げなかったので、グリーンランドまでどうやって行くか考えるために、袋を下ろして、カモメのとなりに座り込みました。
カモメが、「その袋は何だい。」と聞いたので、アッチは、「サンタクロースさんの落し物なの。」と言いました。
「南極には、おまわりさんがいないから、届けられないものな。」
カモメは、袋の周りをひと歩きすると、
「元のところに置いておきなよ。きっとサンタクロースさんが探しに戻るよ。」と言いました。
そこでアッチは、袋をかついで、うんせうんせと元の雪の野原に、戻ってきました。
すると、赤い三角帽子をかぶり、赤い服を着た、もじゃもじゃの白ひげのおじいさんが、眉をハの字にして、そこに立っていました。
「サンタクロースさん。落し物よ。」
アッチが袋をさし出すと、サンタクロースは、大喜びでそれを受け取って、「やあアッチ、ありがとうよ。」と言いました。
アッチが、
「いそがしそうね。」と聞くと、サンタクロースは、
「今夜はイブだからね。それで、急いでいたんだが、トナカイが空でくしゃみをしたひょうしに、袋がそりから転げ落ちてしまったのさ。」と答えました。
「トナカイは風邪を引いたの?」
「オーロラの妖精が鼻をくすぐったのさ。ここらの空はいたずら者たちの遊び場だからね。」
「そう。じゃあ、気を付けてね。」
「ほぅほぅ、ありがとうよ。」
サンタクロースが指笛を吹くと、どこからともなく八頭立てのトナカイのそりが現れて、サンタクロースとアッチの前にとまりました。
トナカイにはそれぞれたくさんの鈴飾りが付いていて、歩くたびにシャンシャンと良い音色が響きました。
「アッチが欲しがっていたプレゼントも、ちゃんと用意しているからな。じゃあ、行ってくるよ。メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
サンタクロースは、トナカイのそりに乗って、鈴の音を響かせながら、まっすぐに空へ昇って行きました。
アッチはすっかり嬉しくなって、走って家に帰りました。
次の日の朝、アッチは目を覚まして、枕元に、プレゼントの箱が置いてあるのを見つけました。
プレゼントには、『アッチへ、メリークリスマス。良い子へのご褒美だよ。サンタクロースより』という手紙が付いていました。
箱を開けると、中にはサンタクロースがかぶっていたのと同じ、小さな赤い三角帽子と、プレゼントの小箱を二つ包んだ袋が入っていました。
アッチは、さっそく三角帽子をかぶって、プレゼントの袋をかついで、家の裏口から表に出ました。そして、玄関に回ると、ドアをこんこんと叩いて、「メリークリスマス!」と大きな声で言いました。
間もなく、お父さんとお母さんがドアを開けて、「やあアッチ、メリークリスマス!」と言って、アッチを抱きしめました。
アッチは袋から、二人へのプレゼントを取り出して、「サンタクロースさんからの贈り物よ。」と言いました。
プレゼントには、『メリークリスマス。がんばり屋のお父さんお母さんへのご褒美だよ。サンタクロースより』という手紙が付いていました。
お父さんとお母さんは、アッチをもう一度抱きしめて、「ありがとうよ。サンタクロースさんからプレゼントをもらうのは、子供の時以来だよ。今年のクリスマスは特別素敵になったね。」と言いました。
アッチは、「ええ。素敵だわ。後でいっしょに、サンタクロースさんにお礼のお手紙を書こうね。」と言いました。
そして、お父さんとお母さんの嬉しそうな顔を、かわるがわる見上げると、まん中で二人と手をつないでから、ほくほく笑ってスキップで家の中へ入りました。


おしまい



 そろそろクリスマスシーズンたけなわという事で、「きよしこの夜」の演奏動画をご紹介します。

写真&シンセサイザー演奏: さえこさん
動画編集: Kobito

きよしこの夜は、有名なクリスマスキャロルですが、作曲者のグル―バーは、イブの前の日に作詞者のヨゼフ・モールから、「私の書いた歌詞に曲を付けてほしい。明日のミサまでに。」という依頼を受けて、わずか一晩でこの曲を書き上げたのだそうです。

写真撮影とシンセサイザー演奏はさえこさんです。
私は字幕とスライドショー担当です。

イルミネーションとシンセサイザーの響きで、クリスマス気分を楽しんで頂けると嬉しい?です♪






 ファンタジー世界を思い描く楽しみの一つは、現実とは全く異なる地理上で、物語が展開するということです。
そして、町の中だけで展開するお話であれ、世界を股にかけた大旅行のお話であれ、そこに手製の地図が添えられると、驚くほど豊かなリアリティと想像力の広がりが得られます。

以下の地図は、私が書き進めている『魔法使いサキの物語』というファンタジー小説の世界観です。
これまでのお話の中で登場した国名や地名が記されています。


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まだほとんど空白ですが、これから旅を続ける中で、各国の国名や地名が記されて行く予定です。
現在、主人公サキが居るのは、ゴンドラ大陸の東の端の、赤い線で囲んだフラトという小国です。
フラトは世界でも数少ない、魔法使いの市民権が認められた国でしたが、魔法を使った王の暗殺未遂が起こったため、すべての魔法使いを国外追放にするという王命が下されたばかりです。

サキは出国許可証を持たないまま、フラトから極北のナップに向かおうとしていたので、この王命は思いがけず、彼女の出国を可能にしてくれることになりました。

ナップとは、ゴンドラ大陸の西の果てにある、赤い斜線で示した地域です。通年厳しい風雪で閉ざされた土地ですが、ごく少数の人々が狩猟を主な糧(かて)として暮らしています。

サキがナップに向かう理由は、魔法の師匠であるカン・ソク先生が、サキの身代わりとなって奇妙な白い影にのみ込まれてしまい、その後ナップに飛ばされたという事が分かったからです。

フラトの魔法長官スナクフの占いによれば、カン・ソク先生は命こそ助かったものの、黒い渦に力を奪われており、自力でナップを脱出するのが難しいらしいという事でした。

フラトからナップまでは、直線距離で1万kmも離れています。この世界では、空路の移動手段がまだ存在せず、船による海路も未開拓の部分が多く残っていたので、サキの旅が長い月日のかかる危険なものになる事は明らかでした。

物語としても、まだまだ先は長そうですが、サキがカン・ソク先生のところにたどり着けるまで、マイペースでこつこつ書き進めて行きたいと思っています。

次回は、第8章、サキ視点でのお話から物語を再開します。



 きょうは『魔法使いサキの物語』の、第7章・第3話をご紹介します。
前回は、魔法長官スナクフが大鷲(おおわし)に変化してアモス王を襲うという、重大な事件が起きましたが、今回はその後の王宮での顛末が描かれます。
挿絵は、アモス王の肖像です。聡明にして進歩的な王として、フラト国民から慕われている人物です。


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御前会議での騒動から数時間後、アモス王は謁見の間の玉座に座り、先ほどさやから抜くことができなかった王の証の短剣に、不具合が無いかをあらためていました。短剣は、普段と変わりなく、容易にさやから引き抜くことができましたし、さやにもつばにも、問題は見当たりませんでした。
そこへ、宰相のテクネが現れて、ひざを曲げて一礼すると、
「例の物ですが、調べが終わりました。」
と言いました。
例の物とは、スナクフが化身した大鷲が、窓を突き破って逃走したのち、アモスが足元に落ちているのを見つけた、鉄製の小さな串でした。
「先端にアミヒルガの毒が塗られていました。刺されていれば、お命も危のうございました。」
アモスは、
「スナクフが連れ去った衛兵は見つかったか。」
と尋ねました。
「空から大運河に落とされたのち、西地区側の岸に泳ぎ着いたのが目撃されておりますが、その後の行方はまだ分かっておりません。」
「謀反人の一人である。手配をして必ず捕まえよ。」
テクネは深く一礼して、謁見の間から退出しました。
アモスは思い立って、足早に自室に向かいました。
そして、部屋の奥の、壁の一隅にある小さな隠し扉を開けると、中から朱塗りの書類箱を取り出しました。
書類箱には、スナクフと魔法によって取り交わした契約書が入っていました。
しかし、契約書を手に取ると、羊皮紙に記された文字は浮きあがって次々に下にこぼれ、空中で煙のように消えてしまいました。
アモスは天を仰いで、低い声でうなりました。
スナクフを信用するための根拠だった魔法による契約は、どうやら偽物だったようです。しかし、衛兵が毒の串を使って暗殺を企てたのだとしたら、スナクフは身を挺してそれを阻止したことになります。

アモスには、誰が謀反の中心に居るのか、はっきりとは見当が付きませんでした。しかし、毒の串の件と、不具合のない短剣が引き抜けなかった件を考え合わせると、魔法使いと、そうでない者たちが、どちらもこの陰謀に関わっていることは間違いないようでした。自分がこのところ頻繁に見ていた悪夢も、魔法使いが魔法で見せていた幻覚かもしれないのです。

もし、魔法使いを含む一派が、この国を乗っ取ろうとしているのなら、それはたやすいことでした。
スナクフを失った今となっては、国内の魔法使いを統率し、王を魔法から守る魔法使いは、王宮にいなくなったからです。

アモスにとって、魔法使いたちの得体の知れない力は、もはや王政を揺るがす脅威でしかありませんでした。
そして、アモスにはこの切迫した状況を、相談できる相手が誰なのかさえ、分からなかったのです。

王が全ての魔法使いの国外追放を命じたのは、それから二日後のことでした。


つづく


 カラーヒーリングをテーマにした連作イラストの5枚目です。
カラーヒーリングとは、色から感じる印象を用いた癒しの効果の事です。



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ハガキサイズのケントボードに、色鉛筆で彩色しています。
蛍光色の色鉛筆を使ったので、普通の色鉛筆よりも明るい画面になっていると思います。
この絵は、ロックバンドのクイーン(Queen)の音楽を聴きながら、その印象を写すような気持ちで描きました。

クイーンの音楽はオペラやミュージカルのように凝った内容が多いですが、基本にはいつも「愛」があるのでとても聴きやすいです。







 きょうは、製作中のファンタジー小説、『魔法使いサキの物語』の、第7章第2話を書き進めてみようと思います。
挿絵は、今回で完成です。お話の末尾に添えてあるので、物語を読んだ後、場面の参考として見てみて下さい。


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アモスは、夢の中で先王マテオから伝えられた予言を、すっかり信じているわけではありませんでした。
しかし、魔法使いの力が、人間業を越えたものであり、王の権威や法律だけでは、統治することが難しいことも承知していました。
テクネがもたらしたスナクフに関するうわさ話は、アモスの心配を裏付ける内容でした。
アモスは、名だたる魔法使いの中でも、ほとんど唯一といってよいほどスナクフを信頼していました。
それは、スナクフを側近として登用するにあたって、全てを王と王国のために捧げるという厳格な契約を、魔法によって取り交わしていたからです。
アモスは不遇をかこつ魔法使いたちの力を活かすことで、辺境の小国であったフラトを、西方のナーグリアに匹敵する大国に発展させる事ができると考えていましたし、そのためには、この練達な魔法使いの知識と技と影響力が不可欠であるとも考えていました。
スナクフは、自分の全てを王と王国に捧げる代わりに、この国での魔法使いの地位と自由を保証するようにアモスに求めました。
王はそれを受け入れ、スナクフは魔法の契約書に署名をし、王は契約書のない約束としてそれを守る事としました。
その、スナクフの結んだ契約の中には、〈王に隠し事をしてはならない〉、という項目もありました。ですから、もしスナクフがうわさの通り、悪魔と契約を交わしていたのなら、王もそれを知っていなければおかしいのです。
王がそれを知らず、スナクフがそれを隠し通せているということは、すなわち、彼女が王と交わした魔法の契約自体が、偽りであったという事になります。
アモスはこんな思いにふけりながら、かつてとは見違えるように発展した城下の街並みを窓際から見わたしたのち、テクネを付き従えて御前会議の会場に向かいました。

会場にはすでに、魔法庁長官スナクフをはじめ、大臣や将軍たちが揃って長机の周りに整列していました。
アモスが長机の一番奥の席につくと、テクネが王のすぐわきに着席し、列席者もそれぞれの席に着きました。
テクネは一同を見渡してから、
「今朝はまず、皆に見てもらいたいものがある。」
と言うと、扉のそばに立っていた衛兵の一人に手をかざして指図しました。衛兵が扉を開けると、廊下から黒いローブを頭からかぶった数人が足早に入室して、驚く列席者を取り囲むように立ち並びました。
彼らはローブのたもとから淡く黄色に輝く手のひら大の石を取り出して、頭上に高々と掲げました。
彼らがいっせいに呪文を唱え始めると、明るかった大窓は次第に薄暗くなり、間もなく室内は、彼らの掲げる光る石だけが列席者の姿を照らし出す、真夜中のような暗闇に変わりました。
突然、鋭い悲鳴のような声が上がり、長机の中ほどの席にいたスナクフが、激しく悶えながら床に突っ伏しました。
彼女の体はみるみる膨らんで、服は破れ、茶色い羽毛が全身にびっしりと生え、首は伸びて頭が小さくなり、口は突き出して鋭いかぎ状のくちばしになり、皆が恐れおののくうちに、一羽の化け物のように大きな鷲(わし)の姿になって長机の上に飛び上がりました。
「殺せ!こやつは悪魔に魂を売ったのだ!」
テクネが叫びました。すかさず、一人の将軍が剣を振り上げて切りかかりましたが、大鷲は舞い上がって剣をかわすと、将軍の肩をかぎ爪でつかみ、槍を構えてせまって来た衛兵たちの上に振り回し、長机の向かい側から切りかかろうとした将軍たちめがけて投げ飛ばしました。
そして大鷲は、部屋の奥の窓辺に後退したアモスを見定めると、天井すれすれに勢いよく滑空して、真上から両脚のかぎ爪をいっぱいに伸ばしました。
アモスは王の証の短剣を引き抜こうとしていましたが、どんなに引っぱってもさやから抜くことができずにいました。
大鷲は耳をつんざくような叫び声を上げ、王の前に立ちはだかった衛兵の腕をつかんで舞い上がると、くちばしから大窓に突っ込んで粉々に打ち破り、まぶしい朝の光が差す外の世界に、衛兵を連れたまま、羽音もせわしく飛び去って行きました。


つづく



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 きょうは、さえこさんとの共作動画、Amazing Grace(アメージング・グレース)をご紹介します。
アメージング・グレースは、もっともポピュラーな讃美歌の一つです。

歌&写真: さえこ
ミックス&ムービー: Kobito

さえこさんの独唱に、小鳥のさえずりや小川のせせらぎ、子供の遊ぶ声などをミックスしてみました。

どうぞお楽しみ下さい♪








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