こんばんは。
今日は、『マーサのお見舞い』という絵の、下絵をご紹介します。


img186 cs

この絵の子猫は、マーサと言います。私が作った、ミニチュアハウスに、両親や兄姉達と住んでいる、三歳くらいの女の子です。
先日、マーサの寝起きの姿を絵に描いたら、ある方が、マーサのことを、メロメロに可愛い、と言ってくれました。それをマーサに伝えたら、マーサは、熊のぬいぐるみのマーチを、ぎゅっと抱きしめて、「メロメロにうれしい。」と言っていました。(メロメロを、"とても"という意味だと思ったようです。)

それで、私が、「その人の、好きな花を持って、お礼を言いに行こうか?」と聞いたら、マーサは、お母さんのところに、すっ飛んで行って、「お礼を言いに行くの!」と言って、お出かけの、準備をしてもらいました。水玉のワンピースを着せてもらって、耳を出す穴の開いた、白い麦わら帽子をかぶせてもらって、寝起きの姿とは見違えるような、よそ行きの、マーサのできあがりです。

これから、色を塗ったら、あなたの好きなマーサが、お礼を言いに行きますからね。
どうぞ、お楽しみに☆


Kobito

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 こんばんは。雪だるまです。
本州以北にお住まいの方は、雪景色を、もう何度か経験された方が多いでしょうね。九州の、私が降った地域では、昨日の夕方が、初めての積雪となりました。
薄い雪化粧でしたが、きれいで、めずらしかったのでしょう、さっそく、Kobitoさんが出てきて、私を作ってくれました。


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純白の雪を集めるのが、大変だったので、ちょっと汚れてしまいましたが、なかなかの出来栄えではないかと思います。Kobitoさん、ありがとう。

朝になると、雪景色は、みんな解けて、無くなってしまいます。私も、そんなに長くは、ここに居られないでしょう。
でも、大丈夫ですよ。解けた雪だるまは、お空に昇って、また、雪となって降って来るのですから。
あ、だけど、Kobitoさんのところには降りません。雲に乗って、少し東の方へ行くのです。
東の方の方たちは、間もなく、私が降るのを見るでしょう。そして、運が良ければ、私はまた、雪だるまの姿にしてもらって、皆さんに、鑑賞してもらう事ができるのです。
それが、もっかの、私の一番の楽しみです。

雪だるま

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 こんばんは。
1月も、残すところわずかになりましたね。知り合いに、体調を崩された方が多かったのと、私自身、しつこい風邪に悩まされた月になったので、2月は、みんなと一緒に、元気に過ごせたら良いなと、心から願っています。

さて、今日は、制作中のファンタジー、『私の物語』の第6話を、書き進めてみようと思います。
まずは、前回下絵をご紹介した、子熊のリリィの挿絵が完成したので、ご覧下さい。


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線画に、ごく薄く、色を塗っただけなので、前回と、あんまり違って見えないかもしれないですね。リリィのモデルになったテディベアの、まぶしいような、独特のクリーム色を再現しようとしたんですが、色の調合が難しくて、ビクビクしながら塗り進めました・・・。^^;

お話は、今回で、やっとリリィが登場するところまで来ました。
つかみどころのないストーリーだったから、リリィのおかげで、少し書き進めやすくなるのかなと、期待しています・・・。^^

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チリンチリンチリンチリンチリン!
鈴の音が、響き渡りました。
さえ達が、音のした、ビワの木を見上げると、やがて、上の方から、一頭の子熊が、幹を伝って下りて来ました。ミルクティーのような、美しい毛色と、柔らかそうな毛並みをした、ぬいぐるみの、子熊でした。
子熊は、地面に下りると、小さなかわいらしい目で、一同をくまなく見渡してから、
「交渉が、バケツに至りました。」
と言いました。
さえは、
「それって、"妥結"のことかしら?」
と思いましたが、みんなが、盛大に、拍手したので、あわてて、拍手に加わりました。
でも、その子熊を見ているうちに、何だか、見覚えがあるような気がして、一歩前に出ると、その、まん丸な顔を、しげしげと見下ろしながら、
「あなたは・・・、あなたは・・・。」
と言いました。
「あなたは?」
子熊は、きょとんとして、さえの言葉を、繰り返しました。
でも、さえは、やっぱり、何にも思い出せなかったので、魚のように、口をパクパクさせました。
子熊は、めずらしそうに、それを見上げていましたが、やがて、
「バケツしたの、見て。」
と言って、ポケットから、まぶしく光る、小瓶を取り出しました。
その、激しい七色の光に照らされたとき、さえは、幼かったころ、一番仲良しだった、心の優しい、子熊のぬいぐるみが、いたことを思い出して、
「リリィ!」
と叫んで、その子熊を、胸にしっかり抱き寄せました。
リリィは、びっくりして、両手をあげたまま、じっとしていましたが、やがて、さえの頭を、片手で、優しく抱きしめながら、
「さえ、そんなに、喜んでもらえて、私も嬉しいわ。」と言いました。
そこで、ローマンが言いました。
「違うよ。なにもかも、忘れちゃったんだ。思い出を、なくしちゃったんだ。」
リリィは、
「まあ。」と言って、悲しそうなさえと、顔を見合わせましたが、
「大丈夫よ。さえが忘れても、私が覚えているから。」
と言って、小さな胸を、目いっぱいに張ってみせました。
それを見て、ローマンも、得意そうに、鼻をブルブルッ、と鳴らすと、
「ほらね。」
と言いました。


つづく

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 去年の夏に、私はミニチュアハウスのキットを買って、その制作過程を、ここのお絵かきブログで紹介する、という事をしました。(右のカテゴリの、『ミニチュア・ドールハウス制作』の中に、その時の記事がまとめてあります。)

ミニチュアハウスが完成した時、私は、『この家の住人を、いつか粘土細工で作ろうと思います。』と言ったんですが、残念ながら、いまだに実現していません。

ですが、何にもしていなかったわけではなくて、頭の中では、ミニチュアハウスで繰り広げられる、住人たちの物語が、着々と形を整えていたのです。

今日は、その住人の一人である、『マーサ』のイラストを、ご紹介しようと思います。


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これがマーサです。
マーサは、白っぽい縞模様の、子猫です。四人兄妹の末っ子で、人間で言うと、三歳くらいの女の子です。
とろんとした顔をしているのは、朝、起きたばかりだからです。
胸に抱いているのは、マーチという名前の、熊のぬいぐるみです。マーサのお気に入りで、どこに行くにも、いつも一緒です。

では、この絵にまつわるエピソードを、ちょっとご紹介しますね。マーサがどんなに面白い子か、このお話を読めば、すぐに分かると思います。

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マーサは、朝起きると、一緒に寝ていた、熊のぬいぐるみのマーチを抱いて、キッチンに行きました。
そこで、冷蔵庫を開けて、棚から、ミルクのビンを取り出して、落とさないように、両手で持って、テーブルの上に、置きました。
そこに、お母さんが来て、マーサを見て、ビックリしました。
「マーサ、おはよう。えらいのね、ミルク、自分で用意したの?」
マーサは、こくりとうなずきました。
「マーチに、ミルクあげるの。」
お母さんは、
「マーチ、ミルク飲むかしら。」
と言って、ちょっと首をかしげました。
「マーチが、飲みたいって言うの。」
マーサは、マーチの顔に頬ずりして、眠たそうにお母さんを見ました。
お母さんは、目をくりっと上に向けて、またマーサを見ると、
「じゃあ、マーサが、ミルクをすっかり飲んでしまってから、空きビンで飲ませてあげましょうよ。」
と言いました。
マーサは、にっこり笑って、
「そうする。」
と答えました。
「マーサ、お顔、洗った?」
「洗っていない。」
「じゃあ、洗ってから、ミルクをおあがりなさい。」
「うん。」
マーサは、まっ白なミルクを見つめて、またお母さんを、うれしそうに見あげてから、
「マーチ、一緒にお顔、洗いましょうね。」
と言って、マーチを連れて、洗面所の方に行きました。
お母さんは、なんてかわいらしい子なんだろうと思って、にこにこ笑いながら見送りました。


おしまい




・・・これで、マーサという子が、お母さんと一緒に、あのミニチュアハウスに住んでいる、という事が、分かりましたね。^^
お父さんや、他の兄妹のことも、イラストを添えて、いずれお話しようと思います。いつまでも、胸の中に収めておくよりは、こうやって、お話しした方が、気持ち的にも、楽になったような気がします。
でも、マーサは、
「粘土細工も、作ってね!」
というに違いありません。^^;

分かったよ。約束するからね☆

Kobito


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 こんばんは。
今日は、制作中のファンタジー、『魔法使いサキの物語』のお話の続きを、書き進めてみようと思います。
前回、駅馬車を乗り継いで、フラトの都テトに到着したサキですが、帽子のトミーの話では、尋ね人の消息を知る秘術を会得した魔法使い、スナクフと会うためには、まだまだ、乗り越えなければいけない壁がいくつもあるようです。


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挿絵は、アクリル絵の具で塗る前に、色鉛筆で当たりを付けた状態です。色を塗ると、長身の男の、大きさが際立つような気がしました。ただ、二人とも、顔つきからすると、そんなに意地が悪いようでもなさそうなので、案外、先々サキのことを、助けてくれる存在になるかもしれません。^^
では、これから、彼らと、サキにまつわるエピソードをお話ししたいと思います------。


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サキは、広場の石段に腰かけて、ぼんやりカン・ソクのことを考えていました。あの、奇妙な白い影に襲われたとき、自分にもっと力があったら、もっと上手く、逃げ出せていたら、カン・ソクに、迷惑をかけることなどなかったのだと、これまで、繰り返し考えてきたことを、また、思っていました。
帽子のジャックを燃やしてしまった時のように、カン・ソクを死なせてしまったら・・・サキは、そのことを考えると、手足が震えてしまうほど、不安で不安で、仕方がありませんでした。
あんまりもの思いにふけり過ぎて、サキは、石段の上から、一人の少年が、足早に降りてきた事に、気がつきませんでした。
その少年は、当たり前のように、サキの旅行鞄をつかむと、ついっと向きを変えて、また石段を駆け上って行きました。
帽子のトミーが、それに気がついて、
「泥棒!」
と叫んだので、サキもようやく振り向きましたが、少年はもう石段を登りきって、通りの向こうへ、走り去る靴音だけを響かせていました。
サキは慌てて、石段を駆けあがると、広い通りを行き交うたくさんの人々の中から、鞄を抱えて街角を曲がろうとする少年の姿を見つけました。
「靴音を追うんだ!早く!」
トミーに言われて、サキは低く呪文を唱え始めました。その魔法は、ある音を大きく、他の音は小さく聞くことができるようになるものでした。
呪文を唱え終えると、すぐに通りの雑踏は静まって、少年の靴音だけが、サキの耳にはっきりと届くようになりました。サキはトミーの小箱を開いたまま、通りを渡って、少年の後を一心に追いはじめました。

商店の並ぶ大通りを通って、靴音は徐々に、人通りの少ない路地の方へ入って行くようでした。やがて少年が、駆けるのをやめて、歩きはじめたので、サキは新たに呪文を唱えて、自分の靴音を消しながら、やっぱり駆け足で相手の靴音に近付いて行きました。
木樽を積んだ家の角を曲がったところで、不意に少年の後ろ姿を見つけたサキは、思わず、
「泥棒!」
と叫びました。
少年は、ギクッとすると、鞄を抱え直して、振り向きもしないでまた走りはじめました。
「何やってるんだ。縄でくくるんだよ!」
トミーがあきれて叫びました。サキは、息も荒く走り出しながら、
「縄、鞄の中だもの!」と言いました。
「今、唱えるんだよ!鞄に!」
それで、サキは魔法を唱えましたが、疲れているのと、走りながらなので、呪文がつっかえて、なかなか上手く言えませんでした。
そうこうするうちに、少年は、どんどん遠ざかって、やがて、赤く塗られた大きな石の門をくぐって、電気の塔を見上げる、住宅街の裏道の方へ駆け込んでしまいました。
サキも、やっとのことで、その門をくぐって裏道に出ましたが、そこで、奇妙な光景を目にして、ハッと足を止めました。
浅黄色の巻き毛の、眼鏡をかけた小柄な青年が、路地の真ん中に立って、きれいな音色で、横笛を吹いていました。その、愉快な旋律に乗せられて、少年は、鞄を抱えたまま、滑稽な恰好で踊らされていました。
鷲鼻で、腕っ節の強そうな大男が、少年の横で、腕組みしながら、笑って言いました。
「上手いじゃないか。そうやって、踊りながら、憲兵の所まで行進するんだぞ。」
サキは、ようやく、この二人が、泥棒を捕まえてくれたのだと分かって、両手をひざに付くと、すっかり息も切れ切れになりながら、「ありがとうございます!」とお礼を言いました。

つづく

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今日は、我が家から見えた、三日月の様子を、ご紹介したいと思います。
星仲間さんに「この時期に見られるきれいな船型」と教えられて、楽しみにしていたんですが、今日、上手い具合に晴れてくれて、屋根の向こうに、くっきりとした金色の月を、見つけることができました。


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デジカメの性能上、金色の感じが写らなかったのが残念ですが、実際は、とても美しい色合いの、シャープな輪郭の三日月でした。
金の船、という言葉がピッタリな、けっこう大きめの船型です。
下に映っているのは、我が家のテレビアンテナです。今、月の船は、アンテナの先に、ゆっくり停泊しようとしているようです。

月や星を見上げていると、心が澄んで、落ち着いて来るのを感じます。悲しいことがあっても、誰かがふとした言葉で、慰めてくれる、そんな安らぎに似たものを覚えた、今日のお月見でした。

星仲間さん、本当にありがとうございます☆

Kobito

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 こんにちは。3連休、いかがお過ごしですか?今日は、久しぶりに、デジカメを持って、庭の風景を中心に撮影してみたので、ご紹介したいと思います。


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庭の木陰に、水仙が生えていて、もこもこしたつぼみを付けています。水仙は、日光をあまり必要としない植物なので、日陰でもすくすく育って、きれいな花を咲かせます。これは、日本水仙という品種なので、真冬の1月半ばから花を咲かせ始めます。田舎だと、河原の土手などによく生えている、日本人には一番なじみ深い水仙です。




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一輪咲いていたので、撮影しようと思ったんですが、木の枝の間に咲いていたので、枝をかき分けて、カメラを寄せて、ようやく撮ることができました。^^;写真で見ると、オレンジのカップと白い花びらの色の対比がとても鮮やかで美しいです。水仙の周りにあるこの木は、何という木だろう?白い花が、下向きにたくさん付いています。




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これは、ポピーの小株です。まだ小さいですが、冬の間も、少しずつ成長し続けるので、春にはこんもりした大株になっています。4月に、黄色い鮮やかな花をたくさん咲かせます。寒さに負けず、頑張るんだよ。^^




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これは、ゴデチアという花の苗です。去年の6月、色とりどりの花が咲いた様子を、ここのブログでご紹介したので、覚えている方も居るかもしれませんね。
この植物は、非常に寒さに強いので、このくらいのサイズでも、立派に冬越しする事ができます。でも、やっぱり、雪が積もったりすると、心配で様子を掘り出して見たりします。雪の下でも、じっと耐えて、春が来るのを待っているので、いつもすごいなと感心します。




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それから、これは、うちの猫の、ハルです。
ハルは、10歳は超えていると思うんですが、正確な年齢は忘れてしまいました。^^;とにかく、元気で、カリカリえさを本当によく食べます。その割に、太ってはいないので、みんなから、うらやましがられます。冬は、自分用の電気アンカの入った座イスで、くつろいでいることが多いです。撮影中、じゃれつくので、ピントの合った写真を撮るのが大変でした。^^;



今日は、冬のKobioの、身のまわりの景色をご紹介しました。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました☆

Kobito


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 今日は、制作中のSF小説、『ハテナ』の第6話と、新しい挿絵をご紹介しようと思います。





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この絵を見て、「あれっ?」っと思った方は、きっと、童話が好きで、色々な作品を読んでおられる方ではないかと思います。なぜなら、この絵は、サン=テグジュペリの書いた『星の王子さま』という童話の、表紙絵を、ほとんどそのまま模写したものだからです。

私は、このお話がとても好きで、今でも時々、書棚から取り出しては、好きなところから読み返したりしています。最初に読んだ時、私は結末で、思わず涙を流してしまいました。心の深い所に届いて、「君には、分かるよね。」と、何度も問いかけられた気がします。
翻訳者は内藤濯(ないとう・あろう)さんです。最近、現代作家の翻訳本が数冊出版されましたが、内藤さんの表した深い深い悲しみには、到底及ばないように感じます。
もし、これから本書を手に取ろうとされる方があれば、ぜひ、内藤さんの翻訳で読んで頂きたいです。

では、これから、この絵にまつわるハテナの物語をお話しようと思います。
星の王子さまと同じように、ひとりぼっちのハテナは、ついに宇宙に飛び出してしまう事になりました・・・。

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・・・〈星の王子さまはね、宇宙を飛んで、色んな星に行くのよ。そして、最後の星で、本当の友達を見つけるの。〉
〈星の王子さまはロボットなの?〉
〈どうして?違うよ。〉
〈だって、宇宙を旅しているのに、窒息しないから。〉
〈うふふっ、これ、本当のことじゃないのよ。お話だよ。〉
〈お話?〉
〈そう、空想ってこと。〉
〈何のためにするの?〉
〈空想?うん、楽しいからよ。〉
〈どうして楽しいの?〉
〈だって空想なら、宇宙を旅することだって簡単にできちゃうでしょ。〉------------




・・・ハテナは目を開けました。そこは、真っ暗な闇と、無数の星が散りばめられた世界でした。
ハテナは、宇宙に来たのです。空想ではない、空気も音もない本当の宇宙です。

どうやって来たのか・・・それは、こういう方法でした。
ハテナは、BIRDを手に入れた晩、すぐにトアルを離れて、内海を渡ること1500㎞の、シラン領内に入りました。
シランでは、その日、新型の気象衛星の打ち上げが予定されていました。
発射準備は夜明けから進められ、カウントダウンも定刻通りに始められました。数値がゼロを切ると、轟音とともにロケットの噴射口から飴色の炎と大量の白煙が噴き出します。
その時、発射台から、奇妙なものが飛び出して、ロケットの先端に取り付きました。それは、青い翼のある、人間のような姿をしていました。

ロケットはすでに地上を離れ始めていたので、打ち上げを中止することはできませんでした。
まっ白な軌跡を描いて、ロケットは青空の彼方までぐんぐんと上昇して行きました・・・。

今、ハテナは、ロケットから離脱して、宇宙空間を、BIRDと一緒に漂っていました。
打ち上げ中、耐熱シートで、全身を覆っていましたが、圧力と衝撃から、コンピューターの機能を回復するのに、少し時間がかかっていました。

ハテナは、視界に映るいくつかの星を、細い光の線で結びはじめました。それは、宇宙空間で、自分の位置を知るための機能でしたが、ハテナは、文から見せてもらった、星座図の通りに、その星々を、結んで行きました。
自分のまわりに、たくさんの星座を描き終えると、ハテナはこう思いました。

「僕は青い鳥と一緒に宇宙を飛んでる星なんだ。そして、僕は星座の一部になって・・・。」
ハテナは、それ以上考えられませんでした。いいえ、頭の中で、自分ではない誰かが話しているような気がしたのです。

全身の機能が正常だと確認できると、ハテナはBIRDを操って軌道を修正し、目的のスペースデブリ回収船と、いずれ接触できる高度まで移動しました。



つづく


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 こんばんは。Kobitoです。
1月も、7日になると、普段通りの生活リズムに、戻られている方も多いでしょうね。
お正月、食べすぎた~、><という方は、今日あたり、優しい味のおじやなど、食べたくなる頃かもしれません。
この頃に、七草がゆの日が、用意してあるのは、やっぱり、そういう理由なのでしょうね。^^

今日は、制作中のファンタジー、『私の物語』の、新しい挿絵、”子グマのリリィ”を描きはじめたので、その下絵を公開したいと思います。


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リリィは、クマのぬいぐるみの女の子です。物語の主人公、さえが幼かった頃に、一番大事にしていたぬいぐるみです。イラストは、テディ・ベアの画像を参考にしながら描き進めています。純粋で、可愛い感じにしたいなと思っていたんですが、下絵が完成してみると、ちょっとおしゃまな表情になっていました。^^何もかも忘れてしまったさえを、きっと優しく励ましてくれることでしょう。
お話は、ずっと考えているんですが、なかなか良い筋が浮かんでこないので、今日は無理をしないで、お休みしようと思います。『私の物語』は、本当に、書き進めるのが難しいお話です。
きっと、私自身の、幼い日の気持ちに、立ち返らなければいけないからだと思います。



Kobito


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 今日は、制作中のSF小説、『ハテナ』の第5話を書き進めてみようと思います。
挿絵は、今回少し趣向を変えて、お絵描き仲間のにゃんたろさんに、色塗りをお願いする、という共作をしてみました。
完成版を見せてもらって、まず、髪の色の鮮烈さに驚きましたが、次第に、にゃんたろさんの優しさが、全体の色調やタッチから伝わって来るような気がして、とても好きな絵になりました。^^
皆さんにも、この絵から、ハテナという少女が、何を見て、何を感じているのか、想像して頂けると嬉しいです☆
物語は、いよいよ核心に向かって進んでいきます。ハテナの過去と未来が結びついて、全てが明らかになるように、頭の中を整理しながら書き進めて行きたいと思います。


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 ハテナに下された指令の内容を解読した研究者達は、ハテナが今後、どのような行動をとるのかについての、シュミレーションを開始していました。トアル国民を攻撃せよという命令については、ハテナにインプットされた司令官の序列の混乱が、実行を阻んでいるという分析結果が出ました。スペースデブリ回収船、『BASE-9』の破壊命令についても、ハテナの翼、通称『BIRD』に、大気圏離脱の能力がないことから、こちらも実現不可能なのではないかという意見が大半でした。
テッペン大佐は、ハテナが世間を騒がせる前に、回収できるのではないか、という期待を持ち始めていました。研究所長のシレットも、遠からずそうなるでしょうと、安堵の表情で太鼓判を押しました。

翌朝、文は、いつもの通り、家を出ると、通学路の途中にある、ハテナの家に向かいました。ハテナと一緒に登校するのが、文の日常であり、また毎日の楽しみでもありました。
「この前、泣いちゃって、ハテナを戸惑わせただろうな。謝らなくちゃ。」
文は、ハテナの家に着くと、呼び鈴を押して、いつものように、ハテナがきょとんとした顔で、玄関の引き戸をあけるのを待ちました。ところが、いつまで待っても、家の中はしんとして、誰も居ないようでした。
鍵がかかっていない引き戸を開けて、中の様子をうかがいましたが、やっぱり室内は静かで、人の気配はありません。
文は、どうしたんだろうと思いながら、ハテナの家を出て、通学路を学校に向けて歩き出しました。

通りの角を曲がったところで、文は数人の男に行く手を阻まれました。男の一人は、拳銃を握って文に構えていました。
「永井 文だな。話がある。来てもらおう。」
文は、なぜか、落ち着いていました。男達に案内されて、文は路肩に止まったバンの後部座席に乗せられました。
そこには、仏頂面をした、AIの姿がありました。AIは、文にとって、『ハテナのお父さん』でした。ハテナがヒューマノイドだと知ったとき、文はAIにその事を尋ねました。AIは、隠そうとはせずに、話せるだけのことを、話してくれました。
だから、文はAIのことを信頼していました。
文はAIの隣に座って、バンが動き出すのを、悲しい気持ちで感じました。


軍施設に移送されたAIの尋問は、テッペン大佐とシレット所長立会いの下で行われました。
AIがまず問い正されたのは、ハテナの記憶領域が、設計図とは別の、複雑な階層を隠し持っている、という点でした。
「この構造は、UM-02(ハテナの前身となる機体)を破棄するときに、不採用にすると言ったはずだ。なぜ、UM-03に転用したんだ。」
シレットの問いかけに、AIが答えます。
「記憶領域の潜在化は、人工知能の発達にとって極めて重要な要素です。サトーの設計は天才的でした。UM-02を破棄したことは、間違いだったのです。」
サトーというのは、このアンドロイド計画に初期から参加していた、人工知能を専門に担当する技術者でした。
彼は、計画参加後、ジャムという名のシステムエンジニアと恋に落ちましたが、トアルの諜報部員がひそかに調査した結果、ジャムはトアルと敵対するボロスカの諜報機関に所属するすご腕のハッカーだと分かりました。
サトーはジャムを通じて、ボロスカに情報を流出させた罪で逮捕され、強制労働キャンプ送りになりました。彼はそこで、過酷な労働と栄養失調のために亡くなっていました。
AIは、サトーの部下でしたが、人工知能の設計を引き継ぐことになり、あらためてUM-02の記憶構造の分析を行いました。ある時、偶然から、AIはUM-02のメモリー内に、まだ誰も見たことのないデータを発見しました。
それは映像で、サトーとジャムが、UM-02に語りかけている様子でした。二人とも、仲睦まじく微笑んで、とても楽しそうでした。
「お前も、彼らが好きだったんだな。」
AIは、無機質なモニターに、語りかけました。
UM-02の破棄が正式に決まった時、AIはひそかに記憶回路の設計図を複製して、ハテナの人工知能の設計に組み込む事を決めました。
「機械的に命令を処理するだけなら、簡単にできるでしょう。だが、情緒を理解した時、ハテナは、無用な過ちを犯さずに済むようになるのです。」
AIはそう言って、強い眼差しでテッペン大佐を見上げました。

『シランの人工衛星打ち上げ』のニュースが、テッペン大佐達の元に届いたのは、ちょうどその時でした。


つづく

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2013年01月|Kobitoのお絵描きブログ .196.195.193.190.188.187.185.184.182.181