制作を進めていた童話、「小さな幸せ」の、4枚目の挿絵が完成したので公開します。
お話も、今回で完結するので、良かったら絵と一緒にお楽しみ下さい。私のお話は、未完のものが多いので、エンディングにたどり着けたことが、何よりも嬉しいです。^^(「小さな幸せ」は、完成までに8カ月もかかりました。)
なお、挿絵は、一つ前の場面なので、今回のシーンとは結びつきません。初めて読む方は、どんなことがあったかを、想像しながら読んでもらえると嬉しいです☆


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お腹一杯になったジョーとトニは、横穴を後にして、さっきの、薄い光が一条差し込む、大きなほらの底に出て来ました。トニは、ほらの入口に、さっきの青い光が見えないので、「おかしいなあ。」と言いながら、目を手で隠したり、手を離して目を細めながら、入口を見あげました。
ジョーが、「何がおかしいの。」と聞いたので、トニは、
「目にね、赤いお日様が入っていたの。でも、見たのは青いお日様だったの。」と答えました。
ジョーはぶら下がったクモの糸をつかまえながら、「僕もそんなの、見た気がするよ。あれ、お日様の思い出なんだよ。」と言いました。
それで、トニも安心して、ジョーよりも先に、クモの糸を登り始めました。
ほらの入口では、帽子を握ったムラサキシジミが、何かブツブツ言いながら、歩きまわっていました。
ジョーとトニは、クモの糸を登りきると、ムラサキシジミに駆け寄って、息を切らせて笑いながら、「ただいま。」と言いました。
ムラサキシジミは、最初、ぽかんと口を開けていましたが、次第に笑顔になって、今度は、触覚をつり上げると、
「お前たちは、こんなに長いこと返事もしないで!」
とわめきました。
ジョーとトニはびっくりして、口々に小さな声で、
「ごめんね。」
と言いました。
ムラサキシジミは、鼻を鳴らして、帽子をかぶり直すと、
「うん、それで、幸せはたくさんあったのかね。」
と尋ねました。
トニは、両腕で抱えるしぐさをしながら、
「あきれるくらいあったよ。」
と真面目な顔で言いました。
ムラサキシジミはふふんと笑いました。
「そうだろう。あれはね、掃除穴。」
「そうじあな?」
「そう、リスたちが野原をかけ回ると、毛にたくさんの草の種が付くだろう。それを掃き入れる掃除穴。」
トニはそれを聞いて、「じゃあ、これから掃除穴の掃除ね。」と言ったので、ジョーは「大掃除だ!」と言って笑いました。
ムラサキシジミはうなづいて、笑いながらコートの襟をかき合わせると、
「さあ、私は行くけれど、お前たちは、自分で家まで帰れるかい。」
と聞きました。
「この土手たどって行くよ。」
ジョーが土手を指さしたので、ムラサキシジミは満足そうに、
「うん、じゃ、元気でやるんだよ。さよなら。」
と言いました。
「さよなら。」
ムラサキシジミは、その返事を聞くや否や、もうパッと飛び立って、青空のずっと高い所まで、木の葉のように舞い上がって行きました。
トニは、あごに指を当てて、その様子をじっと見送っていましたが、やがて、
「ああ、さっき目の中に入った青い光ね。あれ、春の妖精のお空だったんだよ。」
と言いました。
ジョーは、「本当にそうだ。」
と思いながら、ムラサキシジミの羽の、あの美しい、るり色の模様を、思い浮かべました。
冷たい風はいつしか止んで、南の空の高みでは、綿毛のようにまっ白なお日様が、二人のいるナラの木や野原を、洗い立てのまっさらな光で照らしていました。

おしまい








この童話に登場する、「草の種を主食にするアリ」は、日本にも生息していて、名前をクロナガアリと言います。クロナガアリは、秋だけ巣から出て来て、草の種を集め、巣に備蓄すると、その他の季節は、ずっと巣から出ずに生活するという、ちょっと珍しい暮らしをしています。ただし、クロナガアリは蜜を好まないので、作中のありんこの性質は、蜜も種子も好むトビイロシワアリの方が近いです。

童話、『アリとキリギリス』の中のアリも、きっとこの種類のアリではないかと思います。

それから、下の写真は、フリー素材のサイトからお借りした、実際のムラサキシジミの姿です。


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ムラサキシジミの羽は、上から見ると、こんな風に、美しい青い模様なんですが、裏側は、灰色の地味な色で、左右の羽を合わせた時は、ちょっと蛾のようにも見える、面白いちょうちょです。



物語を書き始めた時は、それぞれの生態を、よく調べていなかったので、作中には、いくつかの矛盾点が生じています。でも、物語は、勉強ではないので、面白かったらそれで良いと思っています。^^


最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
これを良い経験にして、また新しい物語やイラストを制作して行きたいと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いします☆


Kobito

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 今日は、先日紹介した、「けろちゃん」の新しいイラストの、下絵が完成したので公開します。
だんだん寒くなってきたので、描いていてとてもイメージが湧きやすかったです。^^

img129 cs

どうでしょう。各キャラクターが真ん中に納まって、構図も安定したような気がします。下描きでは、けろちゃんが少し斜めになっていたので、トレスする時に真っすぐにしてあげました。

色を塗って、もっと可愛くしてあげたいんですが、上手にできるかな。^^;

それから、これは絵とは関係ないんですが、ちょっと心配な事があるので、詩の形で、表してみたいと思います。


「くさり」

君は
鎖にまかれているね
でもね
それは紙の鎖でね
僕や君自身にも
簡単にはずせてしまうんだ
だから
そんなに
苦しまなくていいよ




これは、ある人に宛てたメッセージですが、私と親しくしてくれている、みんなに対しても伝えたい事です。
一人で悩んでいると、どうしても視野が狭くなってしまうので、気がかりがある時は、身近な信頼できる人に、相談してみて下さい。私は、口が堅いし、客観的に物事を見る方なので、身近に、頼れる人が居ない時は、私に話しかけてみて下さい。きっと新しい視点を、あなたに与えることができると思います。

Kobito


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 こんばんは。今日は、共作イラストとして完成した「ハテナ」のSF小説、第2話をご紹介したいと思います。
いつも、イラストに添えてストーリーを書くので、挿絵なしだと、どうしても物語が浮かばなくて、急きょ簡単なスケッチを描いてみる事にしました。


img123 - コピー

どうでしょう?前回登場した、主人公のハテナ(右)と、学校の友達の文(ふみ/左)です。
線画に、色鉛筆のみで彩色しています。
文は、とても優しそうな、そして少し、寂しそうな顔をしていますね。
物語の中で、その理由をお話しできると思います。
かなり悲しいお話になってしまいましたが、ハテナがより良い道に進めるように、私なりに考えた結果なので、辛抱してお付き合い頂けると嬉しいです。

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キャンプから帰った数日後、文は学校で、ハテナに尋ねました。
「ハテナは、写真から、この前のような立体的な姿を写し出すことができる?」
この前とは、キャンプの夜の事です。文はハテナが、キャンプファイヤーを囲んで踊る生徒達の立体映像を、林の中で、目を光らせながら写し出している様子を見たのです。
ハテナが、「できるよ。」と答えたので、文は「明日、写真を持って来るから、それを立体的に見せてくれないかな。」と頼みました。ハテナは、「いいよ。」と答えました。
次の日の放課後、文は公園で、ハテナに一枚の写真を手渡しました。そこには、エプロン姿の年配の女性が写っていました。
「これ、私のおばあちゃんなの。おばあちゃん、去年の冬、死んじゃったの。お酒を飲んだ人がね、車でおばあちゃんをはねちゃったの。」
文は、そう言って、口をつぐみました。
ハテナは、写真をじっと見つめて、分析が終わると、「少し離れて。」と言いました。文が後ろへ下がると、ハテナの目が光って、文の目の前に、ぼんやりと人影が浮かび上がりました。それは、生前と少しも変わらない、明るくて元気そうなお祖母さんの姿でした。
「ふみ。」
お祖母さんが、口を開いて、名前を呼んだので、文は「おばあちゃん!」と叫んで、抱きつこうとしました。でも、お祖母さんは空気のように消えてしまって、文はそこにへたり込んでしまいました。
文が激しく泣きじゃくり始めたので、ハテナは、「文、どこか痛いの?」と聞きました。
文は、返事もできずに、いつまでもいつまでも泣き続けていました・・・。


翌日、文が学校を休んだので、ハテナは一人で下校する事になりました。いつもの坂道を下ろうとすると、同級生の女生徒四人が声をかけてきました。一人は、ビデオカメラを持っていました。
「昨日、公園で、文に立体映像見せてただろ。お前、人間じゃないんだろ。」
ヒロという名前の背の高い生徒が、威圧するようにハテナを見下ろしました。
ハテナが黙っていると、ヒロは態度を和らげて、
「俺達も、ああいうのが見たいんだよ。見せてくれたら、誰にもお前のことは言わないよ。」
と言いました。
ハテナは、「文は友達だから見せたんだ。」と答えました。
するとヒロは笑って、「俺達だってダチだろ。クラスメイトじゃんか。」と言いました。
それで、彼女達も、ハテナのメモリの中の、『友達』という優先事項に書き込まれました。「何が見たいの?」
ハテナが聞きました。
「お前、ネットとかできんの?」生徒の一人が聞いたので、他の生徒はげらげら笑いました。
「できるよ。でも、どんなネットワークにもつなげてはいけないって、お父さんに言われたんだ。」
「ダチが頼んでんだから、『親父』だって良いって言うさ。今、ネットで、Claysのライブ中継やってんだ。それ見せてよ。」
ハテナは言われるままに、目を閉じて、インターネットの回線を開きました。すると、間もなく、遠くから、探してもいないデータが、たくさん押し寄せて来て、ハテナの中に流れ込み始めました。

目を開けたとき、ハテナの視界には赤い四つの点が見えました。それは、『敵』を意味するレッドフラグでした。ハテナは手の平に仕込まれたナイフをせり出して、そのフラグの一つに飛びかかりました。

ヒロは、ハテナが目を赤く光らせながら、いきなりナイフを握って斬りかかってきたので、悲鳴をあげて倒れ込みました。ハテナは馬乗りになってヒロにナイフを突き立てようとしましたが、すんでの所で動きを止めると、立ち上がって、すでに逃げ出した他の生徒たちを目で追いました。
「整合性のないデータだ。」
ヒロも逃げ去って、ハテナは残されたビデオカメラを踏みつぶすと、そうつぶやきました。




・・・エンディングまで、まだ遠そうなので、ここでひとまず筆を置きます。><
怖い所で終わってしまって面目ないです。><;


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 今日は、ありんこジョーとトニが活躍するオリジナル童話、「小さな幸せ」の、4枚目の挿絵を描き始めたので公開します。画像は、下絵の線画に、色鉛筆で荒く色を付けて、アクリル絵の具で背景色の当たりをつけた状態です。
物語は、今回が一つの山場だったように思います。あとは、緩やかに下りながら、きっちりとしたエンディングにつなげていきたいなと思っています。上手に山を越えられたかな?^^



壁は、登るにしたがって、おうとつが無くなって、磨かれた大理石みたいにつるつるしてきました。トニは、何度か足をすべらせながら、横穴のあるくぼみまで登りつめると、その青く照らされた暗い穴をのぞき込んで、
「ジョー!」と呼びかけました。
返事はありませんでしたが、奥の方で、何かが、「ゴソッ」っと動いたので、トニは急に怖くなって、後ろを向いて逃げ出そうとしました。
すると、ほらの入口から、青くまぶしい光が照らしつけたので、目がくらんだトニは、「わー!」と言って、後ずさりすると、そのままうしろ向きに、穴の底まで落っこちてしまいました。
ごろごろした固まりの中にうずまって、トニはしばらく身動きもできませんでした。
ぶるぶる震えながら、耳を澄ましていると、やがて、とても美味しそうな、甘い匂いがただよってきました。トニは鼻をひくひくさせながら、あたりを見回すと、お腹の上に乗った、柔らかな毛の生えた、固まりの一つを手にとって、匂いをかいでみました。
「あ、これ、『空飛ぶ幸せ』だ。」
それは、トニの大好物の、タンポポの花の種でした。
「こっちは、『花火の幸せ』だ。」
もうひとつをかいでみると、それはヒメシバの種だと分かりました。
トニはようやく、自分が、たくさんの草の種の中に、うずまっている事に気がつきました。


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すぐ横で、何かが動いたので、トニははっとして、音のした暗がりを見つめました。
そこには、ジョーが座って、皮をむいた美味しそうなススキの種を、両手で抱えて、じっとしていました。
「ジョー、何してたの。」
トニは、ジョーが何にも言わないので、怖々たずねました。
ジョーは、口いっぱいに頬張ったススキの種を、やっとのことで呑みこんでから、顔を赤くして、
「僕、食べてたの。」
と言いました。
そうです。ジョーは、あんまりお腹が空き過ぎて、トニたちの呼びかける声にも気付かずに、夢中で、草の種を食べていたのです。
トニは、種の山からはい出すと、「わーい!」と言って、トニに抱きつきました。
そして、「これみんなありんこの幸せだね。」と聞きました。
「うん、湿気ていない、上等の幸せだ。」
ジョーは、真っ白なススキの種を、半分に割ってトニに渡しました。トニは、うっとりするその匂いをかいでから、大きな口をあけて、柔らかなその角にかぶりつきました。そして、よく噛んで味わいながら、こんなにおいしい、幸せを食べたのは、生まれて初めてじゃないかしら、と思いました。
「みんな、こんなにいっぱいの幸せを見たら、おお喜びだねえ。」
「うん、お腹一杯になったら、みんなに知らせようね。」
「そうしようねえ。」
ジョーとトニは、そんなことを話しながら、自分の大好きな種を探しては、夢中になって皮をむき始めました。



つづく


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 制作を進めていたファンタジーイラスト、「私の物語」が完成したので公開します。
イラストは、かなり前に描き上がっていたんですが、物語が思いつかなかったので、公開がずいぶん遅れてしまいました。^^;
ナンセンスな童話を書くって、本当に難しいですね。つくづくルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の素晴らしさが分かってきます。
お話は、まだ全てのキャラクターが登場していないので、次回からは新しい挿絵と一緒にご紹介する予定です☆


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 ずいぶん長い間、さえたちはビワの木の下で、”交渉役”が下りて来るのを待ちましたが、落ちて来るのは、ビワの実の皮ばかりで、交渉役も、チャッキーという動物も、なかなか下りてきませんでした。
「あいつら、この木のビワをみんな食べちまうつもりなのか?」
木の下に立っていた、緑の服の小人が言いました。
すると、大きなカエルが、
「ジョージ、ちょっと登って確かめて来てちょうだい。」
と言ったので、ジョージは、口をとがらせて、
「僕が木登り下手だって知っているだろう。都会っ子なんだから。」
と言いました。
「ねえ、どうしてランプが必要なの?あなたが居れば十分じゃない。」
ロバのぬいぐるみに寄りかかったさえが、頭にとまったフールに尋ねました。
フールはビックリした様子で、
「だって、あなたが、『あれを無くしたら、私たちはこの《とこやみの森》から絶対に出られないわ。』って言ったからよ。忘れちゃったの?」
と聞きました。
「私、何もかも忘れちゃったの。どうしましょう。」
さえはそう言いながら、自分でも心細くなって来ました。
すると、耳元で誰かが、
「心配ないよ。」
と低い声で言いました。
見ると、ロバのぬいぐるみが、大人しそうな瞳で、さえを見つめていました。「ロバさん、ごめんなさい。私、あなたの名前も、思い出せないの。」
さえが申し訳なさそうに言うと、ロバは、
「僕はね、ローマンって言うんだ。そして、みんなはロバって言うけど、僕は、自分のこと、ポニーだって思うんだ。」
と教えてくれました。
「確かに、ポニーにも見えるわ。ローマン、どうして心配ないの?」
ローマンの首を抱きながら、さえが聞きました。
「僕はね、心配な時は、『心配ないよ』って言うんだ。そしたら、なんとなく心配なくなるよ。」
さえは、胸に手を置いてみて、
「本当ね。あなたとお話ししていると、何だか、心配ないって思えてきたわ。」
と言いました。
ローマンは、嬉しそうに、鼻をぶるぶるっと鳴らしました。



つづく

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 外は雷が鳴って荒れ模様です。冬の嵐は、夏の嵐の、どこか憂さ晴らしのような快活さがなくて、陰気で寂しく、ひとりぼっちの心をおびえさせます。
今日は、先日公開した、「雪遊びをするけろちゃん」の、下絵の制作模様の続きをご紹介します。


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このクマちゃんとよく似たぬいぐるみが、私の家にあるので、絵を描くときに影響を受けたことは間違いないようです。それは、「ヒグマの着ぐるみを着たクマのプーさん」なんですが、このクマちゃんは、「シロクマの着ぐるみを着たヒグマ」か、もしくは、「ヒグマの着ぐるみを着たシロクマ」にしたいと思っています。名前がまだないので、これからじっくり考えてみようと思います。
クマちゃんが作っている雪だるまは、真面目そうな顔で、けろちゃんの表情と似たところがあるなと思います。^^

観た人に、夢中になって雪だるまを作った、子供のころを思い出してもらえるように、一生懸命描き進めたいなと思います☆


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 以前イラストを制作したオリジナルキャラクター、「けろちゃん」を使って、新しいイラストを制作し始めたので、その下絵の一部を公開したいと思います。今回は、物語が感じられるように、登場させるアイテムを、他のアイテムに関連付けるようにして描いてみたいなと思っています。


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前回に比べて、けろちゃんの顔がスッキリと、端正になってきたように思います。長編漫画で、初めの頃と、シナリオが進んでからのキャラクターの顔立ちが違う、という事がよくありますが、一つは、「作者の中のキャラクターイメージが、よりそのキャラクターの性格に適した顔立ちになっていく」という事が原因ではないかと思います。

けろちゃんは、カエルではなくて、「カエルの着ぐるみを着たネコ」です。だから、冬でも雪遊びに興じることができます。この絵は、その様子を表していて、けろちゃんの隣には、冬を代表するキャラクターが立っています。さらに、その横には、けろちゃんの友達の小さなクマが居て、一緒に雪遊びに興じています。
雪が積もる頃には完成させたいなと思っているイラストです。^^


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 制作を進めていたライ電さんとの共作イラスト、「ハテナ」が完成したので公開します。以前ご紹介した「少女」、「機械の翼」、「宇宙の背景」のアナログイラストを、デジタルソフトで切り取って、一枚の絵に貼り合わせるという工程を経て完成させています。この手法にまだ不慣れなので、色調の統一感に少し違和感が出てしまいましたが、拡大画像ではそれほど気にならないと思うので、画像をクリックして一回り大きな画像で楽しんで頂けると嬉しいです。


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(「宇宙少女」 ☆作画 by Kobito  ☆メカニックデザイン by ライ電さん)

背景は、少女のサイズに合わせて中央部分だけを切り取って使用する事にしました。ビーム砲の光は、デジタルソフトの特殊効果機能を使って追加してあります。
また、下記に、この絵を基にしたSF小説の第1話を書いてみたので、絵と見比べながら作中世界に思いをはせて頂ければと思います。

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・・・少女の名前は、「ハテナ」と言いました。彼女は、トアルという国が世界で初めて実用化に成功した、戦闘用アンドロイド(人造人間)でした。
軍内部で極秘に開発され、量産に向けた研究が進められていましたが、ある日、正体不明のテロリストによって研究施設が襲撃されたため、かろうじて難を逃れた彼女は、研究者のAIと共に研究所を出て、当面一般市民として街で身を隠すことになりました。

AIは、彼女の軍事利用には否定的だったので、彼女を本当の人間にしたいと考えて、軍と連絡を絶ち、戸籍を偽造し、親子として、普通の生活を送り始めました。

ハテナは、知識こそ豊富だったものの、人間としての情緒は、まだ未発達な部分が多かったので、AIは、大胆にも、彼女を高校に通わせて、実際の人間関係から、「人間らしさ」を獲得させようと考えました。

彼女は、入学したアケボノ高等学校で、初日から『変な子』というあだ名をつけられるくらい、破天荒な行動をとってしまいました。教室の入口の扉を取り外してしまったり(故障した自動ドアだと思ったのです)、教室で飼っている金魚を、素手で捕まえて観察したりしたのです。
クラスの中で、彼女の純粋さに気が付いて、色々と世話を焼いてくれたのは、生き物係の文(ふみ)でした。
文は、ハテナが身だしなみに構わないことを、そっと注意しました。
「あのね、制服の下には、タンクトップとか、下着を着た方がいいと思うよ。」
「だって僕、汗をかかないんだもの。」
「どうして僕って言うの?女の子らしくないよ。」
「だって僕は僕だもの。」
「髪をとかして、髪飾りを付けたら、ハテナ、すごく可愛くなると思うな。」
「そうしたら、人間らしく見えるの。じゃあ、今日からそうする。」
こんな風にして、文とハテナは親しくなりました。

楽しい学校生活の中で、ハテナは次第に、人間らしい心を、表現できるようになって行きました。ところが、学校行事のキャンプの夜、ある出来事から、文はハテナが人間ではない事を知ってしまいました。ハテナは、その事を誰にも気付かれてはいけなかったことを話して、「さようなら。文。」と言って立ち去ろうとしました。
文はハテナを引きとめて、「誰にも言わない。ハテナはここに居ていいんだよ。」と言いました。
「本当に?」
「本当よ。ハテナは、ここに居たいんでしょう?」
「・・・うん。でも、どうして文は、いつも僕を守ってくれるの?」
ハテナが尋ねました。すると文は、「だって、友達だもの。」と言いました。
その日から、ハテナの中で、『友達』は、『一番優先すべき味方』という位置付けになりました。



つづく


・・・ちょっと長くなりそうなので、ひとまずここで筆を置こうと思います。
続きは、新しい挿絵と一緒に公開するか、文章のみで公開する予定です。

最後までお読み頂き、誠にありがとうございました☆

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こんにちは。今日は、制作を進めていたファンタジーイラスト、「魔法使いサキの物語」の、2枚目の挿絵が完成したので公開します。

物語も、絵の下に書いてみましたが、ちょうど絵に描いた二人が登場したので、良い区切りになったのではないかと思います。次回は新しい挿絵の構想が浮かんだら書き始める予定です。どうぞお楽しみに☆


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次に目を覚ました時、カン・ソクは、暖かい部屋の中で、ベッドに横たわって、赤茶けた木組みの天井を見上げていました。
ベッドの傍らには、サキが座っていて、カン・ソクの額を、湿らせた布で優しく拭いてくれていました。
「サキ、僕は夢を見たよ。とてもおかしな夢でね、ぼくはまた、ナップに飛ばされてしまうんだ。」
カン・ソクは、そう言って、サキを見上げましたが、次第に、頭がはっきりして来ると、その女性が、サキではない事に気が付きました。
真っ白な長い髪と、星のような青い瞳をした、年若い娘でしたが、カン・ソクは、彼女の顔立ちが、サキと見まがうほどそっくりな事に、驚くと同時に、背筋がひやっとするような恐怖さえ覚えました。
「あなたは眠らなければいけない。凍傷と、脚を骨折していて、ひどく熱も出ているから。でも、チェロは大丈夫だと言っている。」
その娘は、カン・ソクの様子がおかしいのを見て、落ち着かせるように言いました。
「チェロ・・・、僕を助けたのはチェロだったのか。そして君は、ダジーの娘のフキだね・・・。」
か細く震える声でカン・ソクが尋ねると、フキは嬉しそうにうなずきました。
「私もあなたを覚えている。あなたはとても素敵な魔法使いだった。」
しばらく見つめ合ってから、フキは席を立って、隣の部屋に行ってしまいました。
カン・ソクは、次第にうずき始めた傷の痛みと、頭のほてりのせいで、考えに集中する事ができませんでしたが、
「ただ、僕を呼んだ者が居るのは間違いなさそうだ・・・。」
と、自分に言い聞かせるようにつぶやきました。
ひどい疲れを感じて、彼は両目を固く閉じると、すぐに深い眠りに落ちました。

どのくらい時間が経ったのか、喉の渇きで、再び目を覚ますと、となりの部屋から、こんな声が聞こえました。
「・・・この吹雪では、メーベルも村までは走れない。」
それは、フキの声でしたが、相手の返事は聞こえませんでした。ところが、
「そうね・・・、ソリの修理はしておいた方がいいわ。」
と、フキは、誰かと語り合うように、やっぱり一人で話し続けているのでした。
やがて、その声も途絶えると、一人の若者が、カン・ソクのいる部屋の入り口に立ちました。それは、分厚いシロクマの毛皮を着て、アザラシの毛皮のズボンをはいた、二十歳くらいの青年でした。透き通るような青い瞳が、フキとそっくりなので、カン・ソクは彼が、フキの双子の兄、チェロだなと思いました。
チェロは、ベッドの傍らまで来て、凍った毛皮から雫を滴らせながら、カン・ソクを見下ろしました。
「助けてくれてありがとう。僕は、君のことお父さんと間違えたよ。」
カン・ソクが声をかけても、チェロは返事をしませんでしたが、何か言いたそうに、口元をゆがめたので、カン・ソクは彼が、言葉を発する事ができないのだと分かりました。
チェロの横に、フキが来て、「ヒウチゴケの煮汁を飲む?」と、器に入った赤い汁を見せたので、カン・ソクはその苦さを思い出して、思わず顔をしかめました。でも、この薬草に、凍傷を癒す効能がある事も知っていたので、「ありがとう。」と言って、包帯の巻かれた両手で受け取りました。そして、ご褒美を求める子供のように微笑みながら、「メーベルの乳も飲みたいな。」と付け加えました。


つづく

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 こんばんは。
急に寒くなって、お風呂に入るとき、足がとても熱く感じますね。ちょうど、11月に入る頃、感じ始めるので、私の住む地域では、季節の節目のサインとして、用いることができるかもしれません。

さて、今日は、共作イラストとして制作中の「ハテナ」の、翼と背景の完成図をご紹介したいと思います。


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この翼は、お絵描き仲間のライ電さんが描いた設定画を元に、私が彩色を進めて完成させたものです。肩のビーム砲は前後に倒れるようになっていて、完成版では右肩の砲門が正面を向いた構図にしようと思っています。翼の上の丸は、正面を向いた砲門として使用するパーツです。
このメカデザインで、私が最も好きなのは、翼の上部にあるビームカッターです。接近戦の時に、とても役に立ちそうな気がします。^^
ライ電さん、カッコ良いメカデザイン、本当にありがとうございました!



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こちらは、背景として使用する「宇宙空間の絵」です。イラスト投稿サイト『Pixiv』の素材集の中の、縦長の絵を参考に、横長の構図に描き変えて完成させました。
真ん中の光は、原画では太陽のような感じでしたが、私の絵では、爆発した星か、星雲のかたまりのようになりました。この光を背にして、先日紹介した少女の絵が浮かぶという構図を想定しています。
飛び回っている光は、戦闘機のエンジンが発する炎の尾のつもりです。
苦手な背景ですが、精一杯がんばりました。^^;

次回は、全ての絵を貼り合わせた完成作をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに☆^^

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2012年11月|Kobitoのお絵描きブログ .147.143.142.140.138.137.136.134.133.130