きょうは、オリジナル童話『子猫のマーサ』シリーズの、7番目の新作を書いてみたので、ご紹介します。
タイトルは、「マーサにお見舞いが来た日」です。

挿絵は、このお話用に描いたもので、黄土色に見える部分は、実は金色が塗ってあります。金色を使うと、光の加減で、絵の雰囲気が変わって見えるので、とても面白いです。
それでは、挿絵の下から、お話をお楽しみ下さい。


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「マーサにお見舞いが来た日」

マーサは今朝から、少しお熱で寝ています。
お母さんは、「今日一日、おとなしくしてね。」と言って、マーサのほてった頬をなでると、あごまでやさしく毛布をかけてくれました。
マーサは、お熱のときに、いつもお母さんが作ってくれる、すりリンゴが楽しみだったので、
「あとで、すりリンゴを持ってきてね。」と言いました。
「ええ、冷蔵庫で冷やしてくるね。」
そう言って、お母さんは子供部屋の戸を閉めました。
それでマーサは安心して、うとうと眠りました。
昼ごろになって、マーサが目を覚ますと、ベッドのすぐ横の、開け放たれた窓から、熊のぬいぐるみのマーチが、顔をのぞかせていました。
マーチの後ろで、クロードの耳が動くのがちらっと見えたので、マーサはうれしさに手をすり合わせて、
「私、お見舞いを待ってたのよ。入って来なさいよ。」
と声をかけました。
マーチは、毛むくじゃらの片手をあげると、
「風邪がうつるから、入りたくないもん。」
と言いました。
マーサは、どうしてもマーチを抱きしめたかったので、
「だいじょうぶよ。私、息とめてるもの。」
と言いました。
でも、マーチは、
「僕がいるあいだじゅう、とめてられないもん。」
と、ばかにしたように答えました。
マーサはしばらく考え込みましたが、やがて笑顔になると、
「じゃあ、あんたと私で、代わり番こにとめればいいのよ。」と、言いました。
「マーサはおしゃべりだから、僕はずっと、息をとめてなきゃならないもん。」
マーチが両手で口を押さえて、いやいやをしたので、マーサはなんてかわいい子熊だろうと思って笑いました。
「あんた、お花を持ってきた?」
「何のお花?」
「河原のお花よ。タンポポとかよ。」
「タンポポは牛さんが食べちゃった。」
「じゃあ、レンゲよ。」
「レンゲは山羊(やぎ)さんが食べちゃった。」
「じゃあ、ス・・・、スレミよ。」
「スレミは僕が食べちゃった。」
マーサは足をバタバタさせてきゃっきゃと笑いました。
そこへ、お母さんが、「さあ、冷やしたすりリンゴですよ。」と言いながら、部屋に入ってきました。
「お母さん、マーチの分も、持ってきた?」
お母さんは、マーサが指さす方を見て、窓から顔をのぞかせているマーチを見つけました。
「まあ、いらっしゃい。お見舞いに来ていたの。」
お母さんは、そう言ってマーチを抱き上げました。
「クロードは?」
マーサがまた、窓を指さすので、お母さんはそっと外に顔を出してみました。すると、クロードはちょうど、庭のしっくいの垣根を飛び越えて、大あわてで逃げて行くところでした。お母さんは、「クロードは逃げちゃったようよ。」と言って、手を伸ばしたマーサの横に、マーチを添い寝させました。
マーサはマーチをぎゅっと抱きしめて、耳のあたりをなで付けながら、「おかしなクロードね!」と言いました。
マーチは、「まったくね!」と言うように、ばんざいをしたままうなずきました。

おしまい





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 本日は、オリジナルの猫の童話、『マーサは釣り人』の第6話を書き進めてみたので、ご紹介します。
このお話は、今回で完結です。
子猫のマーサが、初めての釣りで、マスを釣ったところから、お話を再開します。

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「もっと釣るね!」
マーサはまた、ジローさんにえさを付けてもらって、さっきと同じように、竿を川の上に伸ばすと、糸をゆらゆら揺らしてから、丸い岩の近くにポチョンと落としました。
すると、すぐにまた、竿がブルブルふるえて、水の中に、糸がぐいぐい引っぱられはじめました。
ジローさんが、「放すなよ。」と言いながら、すぐに竿を支えて、マーサといっしょにゆっくり後ろに下がりました。
「ほう、またマスだ。」
水の中で、魚の影が、右へ左へ泳ぎながら、時々うろこをまぶしく光らせています。
「ほら、もう少しよ。がんばれがんばれ!」
夢中で竿を引っぱるマーサの体を、マリアが横から支えて応援しました。
やがて、水面にあらわれた中くらいのマスが、ふらふら岸に引き寄せられたので、ルネが駆け寄って両手でつかみました。
ジローさんが釣針を外したので、ルネはマーサと一緒に、そのマスをバケツまで運んで、水の中に入れました。
「まるで魚が釣られたがってるみたいだわ。やっぱりクロードのミミズが良いんだねえ。」
マリアがバケツをのぞき込む二人を見下ろしながら、笑って言いました。
マーサは得意そうに、「クロードのおかげよ!」と言いました。
それから、マーサは、みんなに手伝ってもらって、クロードが帰ってくるまで、わいわい楽しく釣りを続けました。
本当によく釣れたので、クロードが戻る頃には、バケツには、マスや小ブナが六匹も泳いでいました。
クロードは、何も持たずに、息を切らして走って来ると、魚でいっぱいのバケツをのぞき込んで、「えらく釣れたもんだなあ。」と言いました。「みんなマーサが釣ったんだよ。休む間もなく次々とね。」とマリアが言いました。マーサは「これが一番に釣られた、一番大きいお魚よ!」と言って、バケツのまん中で泳ぐ大きなマスを指さしました。クロードは、「良い型だな。」とうなずきました。マリアは、クロードがすこししょんぼりしているのに気が付いて、「悪いことしたねえ。クロードも釣りたかったんだろう。」と言いました。クロードは、肩をすくめて、「うん。だけど、たくさん釣れたからいいんです。」と答えました。
マーサが、「お土産よ!」と言って、ルネにマスの小さいのと中くらいのを三匹あげたので、ジローさんたちは「ありがとうよ。」と言って、バケツからつかみ上げると、マリアが持っていた手提げ袋に手早く入れました。三人がお別れを言って立ち去ろうとすると、マーサはまたルネのところへ駆けて行って、「ここはクロードの秘密の釣り場だから、秘密よ。」と言いました。ルネは、「うん。言わない。」と言って、ジローさんたちと一緒に小道を帰って行きました。
クロードとマーサはそれから、並んで川べりに座ると、バスケットを開いて、お弁当を食べる事にしました。
二人とも、たくさん体を動かして、すっかりお腹が空いていたので、何段も具をはさんだベーコンサンドを、大きな口を開けてどんどんほおばりましたし、お母さんが焼いた二人の大好きなビスケットも、数をきちんと分け合って、「とっておきのごちそうだね!」と言いながら、お互いの食べる様子を見つめ合って食べました。水筒の温かい紅茶は、一つのコップで、交代々々に飲みました。
お弁当をすっかり平らげてしまうと、クロードはナフキンをバスケットにしまいながら、マーサに言いました。
「さあ、帰るよ。忘れ物しないようにね。」
マーサが立ち上がって、
「バスケットとバケツ、私が持つね。」と言いました。でも、クロードは、
「バケツは魚が入ってるから、来た時よりすごく重いんだぞ。代わりに釣竿を一本持ちなよ。」と言いました。
マーサは釣竿を担いで、家まで歩いてみたかったので、喜んでそうすることにしました。
バスケットは、空になってとても軽かったので、マーサはそれを片手に提げたまま、釣竿をもう一方の手だけで肩に担ぐことが出来ました。
バケツと釣竿を持ったクロードと並んで歩きながら、マーサは自分がいよいよ、本当の釣り人になったんだな、と感じました。
そこで、
「一番大きいお魚、クロードにあげるね!」と言いました。
クロードは、
「いいの?」と聞きました。
「それ、うまそうなマスよ!」と、マーサが言いました。
クロードは、「じゃあ、三匹しかいないから、大きいマスは僕とマーサで、半分こにしような。」と言いました。
マーサは、「それが一番ね!」と言いました。
二人は、小川のせせらぎと、ちりばめられた柔らかな木洩れ日の中を歩いて、ジローさんのクルミ林を通り抜けました。そうして、小さな木橋を渡ると、土手の向こうに見えてきた、お母さんが待っている緑の切妻屋根の家まで、声を合わせて、カモメの歌を歌いながら意気揚々と帰って行きました。




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 きょうは、オリジナルの猫の童話『マーサは釣り人』の、第5話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、これで完成です。


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左手に座っている子猫が、クロードとマーサの兄妹、右手に立っているのが、ジローさんとマリアの夫妻と、その子供のルネです。
クロードとマーサは、ジローさんのクルミ林のそばの小川で、釣りをしようとしていたのですが、肝心のえさを、家に置き忘れて来たらしかったので、ひとまず二人で取りに帰ることにしました。
そこへ、ジローさん一家が通りかかり、クロードから事情を聞くと、マーサを見ていてあげるから、忘れ物を取っておいでと言ってくれました。そこでクロードは、お礼を言って、家まで一目散に走って行きました。

今日のお話は、その続きです。

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「なに忘れたの。」
ルネが聞いたので、マーサは、
「えさよ。釣りのよ。」
と言いました。そして、
「私が作ったお弁当、見る?べーさんこんどよ。」
と言って、バスケットを引き寄せました。
ルネはマーサの横にしゃがんで、ふたが空いたバスケットの中から立ちのぼる良いにおいをかいで、
「たべたいな。」
と言いました。
「あんたはさっきお弁当を食べたばかりでないの。」
マリアがあきれて言いました。
マーサは、ベーコンサンドの包みを開こうとして、すみの方に、チョコレートの缶がしまってあるのを思い出しました。
その缶は、もともと、バケツの中に入っていたのを、マーサが気を利かせて、バスケットの中にしまい込んだのです。
マーサは、缶を取り出して、ふたを開けてみました。
すると、中身は、飴玉大のチョコレートではありませんでした。五、六匹くらいの、ミミズだったのです。
「おやまあ。」
マーサがつぶやいたので、ルネも、缶の中をのぞいて、「ミミズだ。」と言いました。
「ミミズならそこらの石の下にいるだろうに。クロードは、家まで取りに帰ることはなかったね。」とマリアが言いました。
「井戸の横で掘ったやつよ。一番釣れるの。」
マーサが教えました。
「どれ、かしてごらん。」
ジローさんが言うので、マーサが缶を渡すと、ジローさんは釣竿を肩にかけて、竿に巻き付けた糸をほどくと、糸の先の釣針に、缶からつまみ出したミミズをひっかけました。
そして、釣竿をマーサに渡しながら、
「あの川底の、大きな丸い岩のあたりに投げてごらん。」
と言いました。
「何を投げるの。」
「ミミズをさ。」
そこでマーサは、竿を小川の方に伸ばして、丸い岩の近くで、糸を少し振って、ミミズをポチョンと流れに落としました。
すると、すぐに、竿の先が、ブルブルふるえはじめました。
「こりゃ、来とるぞ。引いてごらん。」
「何を引くの。」
「糸をさ。」
そこで、マーサは言われたとおりに、竿を立てて、糸を引っぱりました。水の中で、何かがグルグル動き回って、糸も竿も、ぐらぐらはげしく揺れました。
「魚よ!ほら、岩に入った、あ出てきたわ!」
マリアが、マーサをしっかり押さえて、川に落ちないようにしました。
ジローさんも、竿に手を添えて、少し手助けをしながら、「そのまま後ろに下がって、引っ張り上げるんだ。魚をな。」と言いました。
マーサは少しずつ後ずさりして、糸を引っぱりつづけました。だんだん、黒い影がはっきりして、水の上に、バチャバチャと魚が浮かび上がりました。
魚は、そのまま空中を通って、マーサたちのいる草むらに下ろされました。
ルネが捕まえたので、ジローさんが釣針を外し、すぐにマリアが水を汲んだバケツに入れました。
「すごいわあ。マーサは釣りの名人ね。」
マリアに褒められて、マーサは「やったわ!」と言ってバケツに駆け寄りました。そばにしゃがんで、ゆらゆら泳いでいる銀色の魚を、ルネと頭を引っ付けて見下ろしていると、ジローさんが、「うまそうなマスだな。」と言いました。



つづく


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 きょうは、オリジナル童話『マーサは釣り人』の第4話を、書き進めてみようと思います。
挿絵は、また新たに描きはじめたので、その下絵をご紹介します。


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画面の左手に座っているのが、子猫のクロードとマーサの兄妹です。右手に立っている猫たちは、今回登場する、クロードたちの顔見知りです。彼らはどうやら家族のようですね。
では、さっそく、物語の中で、彼らが誰なのか、確かめてましょう。

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小道のわきは、ジローさんが持っているクルミの木立です。まだ若くてせいの低い木が、きれいに草の刈られた平らな野原に風通し良く並んでいます。クロードはここでよく、セミやクワガタを捕って遊んでいます。マーサは、まだ、虫捕りにも連れて来てもらったことがないので、やっぱり、家の窓から、クロードが虫捕り網を持って、クルミの林をうろうろしているのをながめたり、クロードがかごに入れて持ち帰ったセミやクワガタを、逃がさないようにかごのすき間から、指先でさわらせてもらったりしただけでした。
一本のクルミの木が、他の木から少し離れて、小道のすぐわきに生えています。枝が小道の上に広がって、川べりの草地まで木漏れ日できらきら光る木陰を作っています。クロードは、草地に釣竿を置くと、マーサに荷物を下ろさせてから、「ここは秘密の釣り場だからな。誰にも言うなよ。」と言いました。
「お母さんにも?」
マーサが聞きました。
「お母さんにもお父さんにもさ。誰にもだよ。」
クロードが念を押しました。
マーサは、「じゃあ、おじいちゃんが、うちに来た時にも、言わないね!」と言いました。
「あれ、バケツの中のえさがないよ。」
クロードが、バケツをのぞいて言いました。
マーサも、バケツをのぞきこんで、「なんのえさ?」と聞きました。
「釣りのえさだよ。井戸の横で掘ったやつ。あそこのが一番釣れるんだ。」
クロードは、あたりを見まわして、小道の来た方にも目をやってから、
「マーサが落としたんだ。」
と言いました。
「落とさないよ。」
「えさ、見ただろ。」
「えさ、見なかったよ。」
クロードは、「ほら、マーサがバケツを持ったり下ろしたりしたろう、そのとき家に置き忘れたんだ。」と言いました。
マーサは、「置き忘れたのね。」と言って、うなずきました。
クロードは、マーサを残して、家にえさを取りに戻ろうかと思いましたが、そんなことをしたら、お母さんにしかられるので、あきらめて、マーサを連れて、いっしょに家に戻ることにしました。
「荷物も持って帰るよ。ここに置いとくと、物騒だから。」
クロードが立ち上がろうとした時、小道を川上の方から、ジローさんが奥さんのマリアと子供のルネを連れて、歩いてくるのが見えました。
ルネは、マーサと同い年くらいなので、ジローさんがマーサの家に来た時、いっしょに庭で遊んだことがあります。
だから、マーサはルネに手を振りました。ルネはマーサのところに駆けて来ると、「大きなお魚釣れた?」と聞きました。
「まだよ。もう帰るの。」
とマーサが答えました。
ジローさんが、担いでいたくわを下ろして、
「どうしたんかね。」
と聞きました。
「忘れ物したから、一度帰るんです。」とクロードが答えました。
「取っといで。マーサと荷物は見ててあげるから。」
とマリアが言いました。そこでクロードは、すぐに立ち上がって、「ありがとう。」と言うと、マーサを見てちょっとうなずいてから、家の方へ一目散に駆けて行きました。



つづく



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 今日は、オリジナル童話、『マーサは釣り人』の第3話を書き進めてみようと思います。
挿絵は、前回線画を紹介した、マーサたちの住む町の景色の、完成版です。
色を塗ると、何が描いてあるか、少し分かりやすくなったのではないかな?


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手前に小川が流れて、小道で各家がつながっています。畑がたくさんと、果樹園が少しある、のどかな町です。
小川には、小さな魚、大きな魚、エビやカニなど、いろいろ居ます。クロードは、バケツと釣竿を持って、しょっちゅうこの小川に遊びに来ています。
マーサはまだ小さいので、今まで連れて来てもらえませんでしたが、家の窓から、クロードが釣りをしたり、エビを捕ったりするのを、時々熱心に見ていました。
だから、今日、釣りに連れて来てもらえる事が、マーサにとってどんなに嬉しいことか、想像できるでしょう?
では、その釣りに行く時の様子を、これからお話ししましょうね。


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クロードは、「ちょっと待ってろよ。」と言って、庭に出て行きました。マーサは熊のぬいぐるみのマーチを、子供部屋から連れて来て、きちんと椅子に座らせてから、言いました。
「あんたは、まだ小さいから、今日はおるすばんよ。いい子だったら、魚の大きいのあげるわよ。」
マーチは、一緒に行きたそうでしたが、食いしん坊だったので、その条件に満足して、こくりとうなずきました。
「さあ、できたぞ。」
クロードが、釣竿とバケツを持って、戻ってきたので、マーサはかけ寄って、「持つわ!」と言いました。
クロードがことわっても、マーサは持つと言って、聞きませんでした。
「お弁当もあるんだぞ。持てないよ。」
「持てる。」
クロードは、仕方なく、バケツをマーサに渡しました。マーサは、右手にバスケットを持ち、左手にバケツを持ってから、「釣竿も持つ。」と言い出しました。
「お弁当もあるんだぞ。落とすぞ。」
「落とさない。」
「ぜったい持てないよ。」
「持てる。」
クロードはあきれましたが、ため息をつくと、一度本人に試させる事にしました。
マーサは、張りきって釣竿を持とうとしましたが、バスケットとバケツで、両手がふさがっていたので、どうしても持てませんでした。そこで、いったんバケツを置いて、釣竿とバスケットを持ってから、バケツを持とうとしましたが、やっぱり両手がふさがっていたので、どうしても持つことができませんでした。
「ほらな、かしてごらん。」
クロードが言ったので、マーサは、おとなしく釣竿を渡しました。そして、「じゃあ、釣竿はお願いするわ。お弁当と、バケツは私に任せてね!」と言いました。
二人は、連れだって裏口から庭に出ました。そのとき、マーサは、バケツの中にチョコレートの缶を見つけたので、いったん荷物を下ろして、それをバスケットにしまいました。
表は気持ちの良い上天気です。いろんな小鳥たちの、のどかなさえずりが、そこかしこから聞こえます。
クロードとマーサは、菜園を通って家の玄関にまわり、そこから表の道をちょっと歩いて、小川につづく低い土手を登りました。
小川は可愛らしい小流れで、冷たそうな澄んだ水には、川底の大きな石やきれいな砂利が、ゆらゆらゆらめきながら透けて見えました。
川の両岸には、細い小道があって、川下には、渡し板くらいの小さな木橋がかかっていました。
この木橋の下で、クロードはいつも、蟹やエビを探しているのですが、マーサはそれを、家の窓から、しょっちゅううらやましそうに、見つめていたのです。
クロードは、その木橋をマーサと一緒に渡り、今度は川上の方へ歩きました。


つづく



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 今日は、オリジナル童話、『マーサは釣り人』の、三枚目の挿絵を描きはじめたので、その線画をご紹介します。
マーサたちの暮らす、ミニチュアの町の様子です。
マーサは、私が実際に作った、ミニチュアハウスに住んでいる子猫ですから、当然、住んでいるのも、ミニチュアの町、という事になります。
ただし、物語の読み手が、物語の世界に入ってしまえば、町もマーサも、私たちと同じサイズになります。
だから、ミニチュアだからといって、私たちの世界よりも小さい世界だと思うのは間違いです。


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ほら、こんなに広々として、川や畑、郵便局や食料品店など、何でもあります。なんだかよくわからない部分は、私の絵が下手なせいです。実際は、何でも一目見ればわかります。
川辺の小道を、マーサとクロードが、並んで歩いていますよね。その後ろに立っているのが、マーサたちの家です。
小さくてかわいいでしょう。赤いレンガ造りの、住み心地の良い家です。
色塗りがすんだら、もっといろいろ、分かるようになるでしょう。
次回は、この絵のように、マーサたちが連れだって、釣りに出かける場面のお話を書きたいと思います。



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 今日は、サークルWhite Birch -Shirakaba-名義で作った、動画をご紹介します。

私が書いたオリジナル童話、『雨の日のマーサ』を基にして、挿絵を私、朗読を相方さんが担当して完成させました。

こういう動画が、アマチュアでも作れる時代になったというのは、本当にありがたいことです。

物語の内容は、子猫のクロードとマーサの兄妹の、雨の日の過ごし方についてです。

よかったら、動画の画面をクリックしてご視聴下さい♪






動画制作: サークルWhite Birch-Shirakaba-
・作、挿絵、編集: Kobito
・朗読: 相方さん



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 今日は、オリジナル童話、『マーサは釣り人』の、第2話を書き進めてみようと思います。
挿絵も、二枚目が完成したので、合わせてご紹介します。


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釣り場に行く途中の野原の小道を行く、クロードとマーサです。
小道の両側に、柔らかい下草が生えている、とてもきれいな場所です。

第1話では、釣りの日の朝の、一家の朝食のようすを書いたので、第2話では、マーサのお弁当作りについて、お話ししてみようと思います。

挿絵の場面はもう少し先ですが、お話全体の雰囲気の参考にしてもらえれば嬉しいです。

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お父さんとジェミ―が出かけてしまうと、食卓には水切りしたレタス、炒めたベーコン、真っ赤なトマトの輪切り、刻んだゆで卵、チーズ、ウリのピクルス、マスタード、それから、食パンの薄切りが並べられて、マーサのお弁当作りが始まりました。
マーサは椅子の上に立って、満足そうに食材を見渡すと、お母さんを、隣の椅子に座らせて、
「そこで見ててね!」と言いました。
「はいはい、見ていますとも。」
お母さんは、笑って、両手を膝に置いてかしこまりました。
マーサは、まずどうしたものかと思って、あごに人差し指を当てて、考えてしましたが、
横からクロードが、「下に敷くパンが最初だよ。」と言ったので、パンをお皿の上に一枚取りました。
それから、レタスを取って、パンの上に敷くと、おいしそうだったので、嬉しくなって、食卓に手をついて、ピョンピョン飛び跳ねました。
クロードが、「僕のはベーコン三枚、重ねてね。」と言ったので、マーサは、「いいよ。」と言って、こんがり焼けたベーコンを折りたたんで、レタスの上に載せました。
そして、刻んだゆで卵と、トマトの輪切りを載せて、スプーンでマスタードを塗り、ウリのピクルスと、ゆで卵とトマトを載せて、最後にレタスをかぶせて、食パンで閉じようとしましたが、あれこれたくさんはさみ過ぎて倒れそうだったので、最後のレタスとトマトは引き抜いて、あらためて、食パンで挟んで完成させました。
マーサは、いつもお母さんがするように、布巾で両手をポンポンと拭いてから、料理の出来栄えを確かめました。
「まあ、マーサはお料理上手ねえ。とってもおいしそうよ。」
お母さんが、感心して言いました。実際、とてもきれいなベーコンサンドが出来たので、クロードも、「いいじゃん。」と言いました。
マーサは、にこにこ笑いながら、体を左右に揺らして、大きな声で、
「これ、クロードのね!」
と言いました。
それから、マーサはさっきと同じように、お皿にパンを取って、レタスを敷き、その上に、トマトやチーズやベーコンを、一つ一つ丁寧に載せて行きました。
今度のは、ベーコンが二枚と、ゆで卵がたくさん、それからお母さんが漬けた、ウリのピクルスが六切れも、挟んであります。
「これ、お母さんのね!」
二つ目のベーコンサンドが完成すると、マーサはお母さんに言いました。
「まあ、私のお弁当もあるの!嬉しいわ!」
お母さんが喜んだので、マーサは、「どういまたして!」と言って、威勢よく布巾で、両手をポンポン拭きました。
次はいよいよ、マーサのベーコンサンドの番です。
マーサは、レタスを敷いたパンに、ベーコンを一枚と、トマトを二切れ、マスタード、レタスを二枚、ゆで卵少々、ピクルス四切れ、そして大好きなチーズを、うんと多めに載せました。
チーズを挟み過ぎて、てっぺんのパンがちょっと斜めになりましたが、チーズは減らしたくなかったので、今度はそのまま完成という事にしました。
クロードとマーサのベーコンサンドは、お母さんがそれぞれ布で包んで、バスケットの中に入れました。
バスケットには、他にも、お母さんが焼いたビスケットの包みと、コップの付いた小さな水筒が入っていました。
これで、お弁当の準備は万端というわけです。


つづく


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 今日は、オリジナル童話、『マーサは釣り人』の、新しく描きはじめた挿絵の下絵をご紹介します。


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2匹の子猫のうち、右のバケツとバスケットを持っているのがマーサで、左の釣竿を持っているのが、お兄さんのクロードです。ふたりはこれから、釣りに出かけるところです。
この絵は、ペン入れをしたのち、色鉛筆で背景も含めて彩色する予定です。

お話の続きは、まだ筋書きが頭の中で整理できていないので、もう少し時間をかけて考えてみます。

絵を描きながら考えれば、何かいいアイデアが浮かぶでしょう。


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 今日は、オリジナル童話『マーサは釣り人』の挿絵が完成したので、ご紹介します。
彩色は色鉛筆のみを使用しています。


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ピンクのワンピースを着た子猫が、主人公のマーサです。右はじから走ってきているのが、マーサのお兄さんのクロードです。マーサのまわりにいるのは、マーサたちの家族のように見えますが、そうではありません。

以下に、この絵にまつわる物語を書いてみるので、それで、彼らのことも、すっかり判るでしょう。
では、はじまり、はじまり―――


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 マーサが釣り人になりたかったのは、ついさっきからではありません。
マーサに言わせれば、”昨日よりたくさん前から”、そう思っていたのです。
だから、クロードが、「明日釣りに行くか?」と誘った時、すっかり有頂天になって、踊り出したのも、無理はありません。

さて、その日の朝、マーサが目を覚ますと、カーテンはまぶしく光って、一緒に寝ている、ぬいぐるみのマーチも、壁にかかった鳩時計も、となりのベッドで寝ているクロードも、みんないつもより、美しく見えました。特別な日の朝は、いつでもそうなのです。

マーサは、部屋を出て、雀たちの鳴き声が聞こえる廊下を通って、台所へ行きました。
台所では、お母さんが、忙しそうに朝食の支度をしていました。
マーサは冷蔵庫を開けて、下の段から、きれいな新緑の玉レタスを取り出しました。
それから、食卓の椅子を抱えて、冷蔵庫の前に置き、それに登って、いちばん上の棚にある、ベーコンの紙包みに手を伸ばしました。
「あら、マーサ、おはよう。どうしたの?」
お母さんが気が付いて、マーサの背伸びした身体を支えました。
「今日、私、釣りに行くでしょう。だから、お弁当のね、べーさんこんどを作るの。」
お母さんは、「べーさんこんど?」と繰り返してから、やっとベーコンサンドの事だと分かって、
「まあ、自分で作るの。えらいわ。もう、お顔洗ったの?」
と聞きました。
マーサは、ベーコンの紙包みを両手でつかんで、胸まで下ろしてから、
「まだよ。」
と言いました。
「じゃあ、先に洗っていらっしゃい。お食事もじきできるから、あったかいうちに食べて、それから、ふたりでお弁当を作りましょうよ。」
お母さんが言ったので、マーサは、ベーコンの包みを食卓の上に載せてから、
「うん。私ひとりで作るのよ。お母さんは休んでいてね。」
と言うと、両手をすり合わせながら、急いで洗面所の方に駆けて行きました。
お母さんは、嬉しそうにくすくす笑いながら、さっき洗ったにんじんの皮をむきはじめました。
それから、お父さん、ジェミー、クロードの順に起きてきて、お母さんやマーサと一緒に、食事の準備が整った食卓に着きました。
食卓の上に、玉レタスとベーコンの紙包みが載っていたので、クロードがお母さんに聞きました。
「これも食べるの?」
「それはね、マーサがお弁当を作る時に使うの。」
お父さんがそれを聞いて、
「マーサが作るのかい。それは楽しみだな!」と言いました。
「今からみんなの分を作るのかい。間に合うかな。」
ジェミーが、トーストにジャムを塗りながら聞きました。
お母さんは、
「二人のお弁当は、もうできているわ。マーサは、クロードのお弁当を作るのよ。」
と答えました。
マーサは、
「そうなのよ。ごめんなさいね。」
と言いました。
お父さんは残念そうでしたが、ジェミ―は安心したようすでした。クロードは、マーサに頼んで、ベーコンをたくさん挟んでもらおうと思いながら、ピーナッツバターをたっぷり塗ったトーストをほおばりました。


つづく


ちょっとお話が長くなりそうなので、いったんここで筆をおきます。
お父さんとジェミ―は、今回のお話が初登場です。
ジェミ―は、マーサとクロードの、歳の離れたお兄さんです。

続きが書けたら、またご紹介しますね。
お楽しみに♪

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【シリーズ童話】 ミニチュアハウスに住む猫マーサ|Kobitoのお絵描きブログ 23.683.601.574.565.549.537.531.530.529.524